1.山茶始めて開く日**
変若水特別製の強化人間その他右左両名の脳天気アーンド内向きっぷりも相も変わらず。
見た目も仕事も最高に良く出来る男だっていうのに空気の読めない、やはり変若水特別製強化人間鷹宗は、酷が作った死体をとりあえず隅に積み上げる謎のピラミッドプレイ。
その場の収拾をとにくしようとした末棄の、携帯が通話してくれと鳴る。
間髪入れず収まることを知らないメール着信バイブレーション。
鞄に入れたノートパソコンには処理の追っつかない業務メール。
上着のポケットに入れた端末に阿呆な身内と使えない部下上司のとんでも無い企画のメール爆弾。
それらをその場でとりあえず一読。
収拾とはどういう書き順で書けば良いのですか、呟いた後、末棄の苛つきが臨界点突破。
目付きが鋭く変化し、頬は時々引きつる。
明らかな怒りで体が震え、真っ赤なはずのそれを押さえ込んでいる様相。
末棄はその阿修羅に近いままま、押し黙り固い感情のない声で冷酷に電話対応。
愛想もへつらいも媚びもないマシンのようなメール返信。人が相手とは思えない冷徹な対応を電光石火。
そして撤退戦。
その間も表情は硬いまま。
次の予定地へ向かう車に乗り込んでも、変わることはなく。
そんな末棄の苛つき忙しいを、車内の連中は気付くこともなく。
その他右左と昼間から猥談を楽しむ脳足りんな首藤。
空気読めないマイペース鷹宗は使い古した手帳を片手に次のスケジュール等を確認中。
エアコンの効いた車内は暖かだが、卑猥と下品のラードで脂ぎっていた。
そんな中、忙しさに冷めて震えて慌ただしいのは末棄だけ。
怒っているも苛々しているのも、意味ないじゃーんと首藤口調で空気ごと言われているような。
酷の曲げた膝の関節が少し痛んだ。
守るべき急所、白い首筋にはうっすら皺が。
普段は漂う末棄の体臭、金木犀に似た香りは忙しい身からは発散されず。
ただただ黙々苛々と、末棄は人ではない何かのパーツのようにして規則正しく荒々しく。
酷は口内に苦いものを覚え、内なるものの目覚めから逃げるように手入れのなっていない革靴に目を落とした。
それなりのブランドで適当に購入したスーツのズボン裾はややすり切れ、ほつれから末棄の心労が滲んでいた。
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