第1章ー1学期ー
2人とあってから十数年が経った。僕たちはもう高校生。僕とユウの病気は申請すれば全然普通に暮らせるようになった。
「おはよう、ユウ、フレン。昨日ちゃんと寝た?」
「寝たよ!」
ユウはいつも通り、元気で声がでかい。いつも通りでよかった。体は壊れてなさそう。
「うっ、そんなこと言わないでくれ。」
ここ最近、フレンは夜遅くまで起きてるみたい。ユウよりかは体は強いけど、ストレスで体が壊れるとも言うし、しっかり寝てほしい。
「今日は魔法薬学の小テストだけど、大丈夫?復習した?」
「や、やったよ。うんやった。」
ユウは運動は好きだけど、勉強は苦手みたい。こうやって静かになると何か不利になることがある証拠だな。
「さては、ゲームばっかしてたろ?」
フレンはいつも話さなくてもみんなの気持ちを読み取っている。これは魔法の力なのだろうか?それとも普通にうまいのかな?そんなことを話していると、学校に着いた。病院よりは少し小さいけど、立派な学校だなと思う。教室はみんな同じわけではない。みんなバラバラで隣のクラスに行った。ちょっと寂しいけど、いつでも遊びに行けることがとても嬉しい。だって、これまで、会えないことの方が多かったんだから。
キーンコーンカーンコーン
早速1時間目だ。みんながいないのは心配だけどみんながいないことも新鮮だから今はこれを楽しもう。
キーンコーンカーンコーン
「もうお昼休みか!みんなと合流しよっと。」
ダッダッダって、この音は・・・!
「アミスタくーん!お昼一緒だよね!?」
やっぱりユウくんだ。元気なことには変わりないなぁ。フレンももうそろそろ合流するだろうし。
「よっ!やっと授業が終わったんだよ。さて、どこで食べる?」
「はいはーい!俺、中庭がいい!」
「じゃあ僕もそこで。」
「よーし、早く食べに行こうぜ。」
みんなでお昼ご飯を食べることは病院ではなかったけど、学校に来ることができて、日常になった。俺はこの時間が学校の中で一番好き。
「ん!俺トイレ行ってくる。」
「え?ユウっていつもトイレ行ってたっけ?」
「ん〜?なんか行きたくなったの!じゃ行ってくる。」
不思議だな・・・。いやトイレに行くことは生理現象だからしょうがないし、普通なんだけど・・・。
「やっぱりアミスタも不思議と思うか?」
「う、うん。」
「なんか、隠してない?」
「そ、そうなの!?」
何か、隠してる?明るくて、いつも笑った顔をしているユウが?でも、よく考えたら、ユウが悩んでる顔とか、泣いてる顔とか見たことないかも。
「ちょっと、ユウのクラスに行ってみない?」
「わかった、行ってみる。」
ガラガラとドアの乾いた音の先に、
苦しそうなユウがいた。
「お、ねが、い。に、げて。」
「ユウ!!!」
「ここは一旦離れるぞ!」
「フレン!どうして!?」
嫌だ。このままじゃ、ユウが、死んじゃう。やだ。死んじゃうってことは、もう会えなくなるってことなんだよね!嫌だ嫌だ嫌だ!!!
「おい、落ち着け。」
「ぁ、ご、ごめん。」
「おい、そこの腰抜け、どういうことか説明しろ。」
「ヒッ、は、はい!えっと、ユウさんが、イオさんにいじられてて、ユウさんが怒って殴りかかろうとしたら、イオさんが突き飛ばして。そしたら、ユウさんがいきなり光って、あんなことに・・・!」
「うっ、うっ、あ"っ!うああああ!」
「ユウ!」
ユウが、もう、持たない。もう苦しそう。死んじゃう!でも、ユウが、殴ろうとした?ユウはこれまで何も考えずに殴ることもなかったんだ。なのにどうして、ユウがここまで怒ったんだ?
「おい、イオってやつはどこだ?」
フレンは怒ってる。フレンはすぐに怒る人じゃない。フレンが最後に怒ったのは、4年前、僕らが同い年の病人に突き飛ばされてからだった。もしかして、フレンはユウがいじめられたと思ってる!?
「お、俺が、イオだ。なんだ?俺に用か?」
「ユウがお前に殴りかかろうとしたらしいな。なんでだ?おい、わかってんだろ?」
「俺はただ、あいつの体質について言っただけさ。あんな体質がいたなんて、俺は嫌いだね。すぐになんでも壊すんだろう?彼の体質、コピーはな!」
コピー、ユウの体質のことだ。ユウの体質はコピーしようとした相手の何かをトレースする。その時間は5時間。
「ユウは今、何をコピーしているの?」
尋ねてみた。聞けば、何か、対策が思いつくかも知れない。
「あいつは今、俺の魔力をコピーしている。もう時期、死ぬだろうよ。」
「ッ!元々、魔力が少ないのに。そんなことじゃ体が持たないぞ!」
「どうしよう、フレン!」
「ヴッ、い、や、ァ」
どうしよう、魔力を使わせて暴走したら学校に被害が出る。でも、我慢するようにいえば、体が持たない!どうしたらいいんだ!
「ホー、ホー、」
そうだ!この方法なら、助けられるかも!
「ッ!フレン!あのフクロウを出して!」
「あれって、ユウの使い魔だろう?どうするんだ?」
「ユウに、フクロウの魔力をコピーさせる。そうすれば、ユウが少し弱くなっちゃうけど、今の暴走は止められるはず!」
「でも5時間たたないと次ができないだろう!?」
「違う!5時間の間、コピーした能力が使えるけど、その5時間の間にコピーできないわけではないよ、多分。」
「・・・今はそれにかけてみるしかない、か。」
今はこの可能性を信じて、腹を括るしかない。
「アミスタ、俺がカゴを開ける。出てきたフクロウをアミスタが捕まえて、ユウに触れさせてくれ!」
「わかった。」
お願い、ユウ、もうちょっと待ってて、もう少しだから。
「アミスタ、行くぞ。」
ガチャ、ホーホーホー!!
「アミスタ!早く捕まえるんだ!」
早く、捕まえて、ユウを、死なせないようにしないと!
ガシッ、ホーーーーーーー!!!
「や、やっと、捕まえた。ユウ!お願い、フクロウの魔力をコピーするんだ!」
「ぁ、う、ん。」
もう苦しそうなユウの手が、フクロウに触れた。すると、ユウの体が光って、倒れた。
「ユウ!すぐに保健室に運ぶぞ!」
キーンコーンカーンコーン
ユウが倒れて、2回目のチャイムが鳴った。僕は授業を休むわけにはいかないから仕方なく教室にいる。もう放課後だ。すぐにユウのところに行かないと、死んでないよね?お願い、生きていて。
ガラガラ。この時ほど、ドアの音が重いと思ったことはないと思う。
「ユウ?起きてる?」
「ははっ、なんだよ!俺は死んでないぞ?」
生きてる、生きてる生きてる生きてる!目が覚めたんだ。なんであんなことになったの?なんで殴ろうとしたの?聞きたいことはいっぱいあるけど、口が動かない。速く、聞かないといけないのに。
ガラガラ!また後ろからドアの開く音。今度は忙しない。
「ユウ!よかった、起きている。何があったんだ?まあ、大体の想像はついているけどね。」
なんで?なんでフレンにはわかったんだろう?
「あのイオっていうやつはアミスタとフレンの悪口を言っていた。それに、どういじめようかと考えていた。俺はカッとして殴りかかろうとしてしまったんだ。イオは俺を振り払った時、触れてしまったからコピーしてしまったんだ。」
悪口?そういえば、フレンも同じように怒ったことが確か6年前くらいにあった気がする。だからわかったのかな?僕はこのことを何もわかっていなかったんだな。どうしてわかってやることができなくなったんだろう。
「俺は、この後、どうしたらいんだ?」
「ユウは何も悪くない。」
「僕もフレンに同意だよ。ユウはこのことについて何も悪くない。」
「あぁ、ちゃんとイオとそのクラスメートには処罰をしてもらおう。」
だ、だれ?先生?ユウのことわかってるのかな?
「私はケン・ニコルズ。ニコルズ先生と呼んでくれ。」
「あ、先生。」
ユウはニコルズ先生?のことを知ってるみたい。よかった、信用できる人みたい。
「あの人たちは処罰を下して、今後このようなことがないようにしよう。」
「先生、ありがとうございます。」
「先生はユウのさっきの一件、見ていたんですか?」
「・・・あぁ。見ていた。俺はあの時、どうしたらいいか分からず、ずっと止まっていた。だが、2人が出て行ったのを見て、俺はこのことを受け止め、生徒を処罰することを決めた。ユウ、あの時、すぐに助けに行かなくて、すまなかった。」
「い、いえ。そんな、もう済んだことですし!きちんと処罰してくれるなら全然それでいいです。」
数日後、ユウのクラスは少し人数が減ったそうだ。入学早々、こんなことが起こって、正直僕はびっくりしている。でもこのような事件があったことを学校側はちゃんと受け止めてくれた。そして、ユウの力は舐めてはいけないと、裏で結構有名になり、ある人は敵視し、ある人は崇めるようになったんだとか。
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