扉を開けた音
@haruga
序章ー幼少期ー
『魔法が使えるこの世界。』
『僕が叶えたい夢はもしかしたら魔法がなくても叶うかもしれない。』
「あぁ、病院なんか飛び出して友達作りたいなぁ。」
「アミスタくん、今日も検査しますよ。」
この人は看護師さん。やさしそうだけど、たまに僕にいたいことをする。
それに年上だから話すのがむずかしい。もっと話してみたいとは思うけど。
今日もこのベッドから逃げられない。僕はセイシンが病気らしい。
僕にはわからない。僕はどこもわるくない!
「どうしてそんなこわい顔してるの?」
「だ、だれ?」
「僕はユウ。この病院で体を見てもらってる。」
なんとなく弱そうですぐにいなくなっちゃってしまうかもしれない。
チューブをうでに繋がれているところがとってもかわいそう。
「ねえ僕を可哀想とか思わないでよ!僕だってしっかり強いんだから!」
「び、びっくりした」
本当にびっくりした。ここは病院だから大きな声も聞かないから。
でも、今のを聞くと元気なんだなと感じる。
じゃあ、この子もどうして病院にいるんだろう。
「ごめん。僕もカッとしちゃった。」
「うぅん、全然大丈夫。」
「ねえ、君ずっとここにいるの?」
「そうだよ。」
ユウくんはずっとここにいるわけではないのかな。
「ねえねえ、僕と友達にならない?」
「い、いいの!?」
「あはっ、やっと嬉しそうな顔してくれた。」
「・・・本当だ。」
久しぶりにこんな顔をしたんだな。というか今までどんな顔してたんだろう。
そう思うと、相手に申し訳なく思ってしまう。
「ついでにこっちに出ておいでよ!僕の友達もう1人いるから!」
「友達ができるとか、と、とても嬉しい。」
「じゃあついてきて!」
こうやって歩いてるのはいつぶりかなぁ。こう見るといっぱい人がいる。あの人面白そうだし、あのおじいさんはすぐ死んじゃいそう。
「あ!フレン!」
「おう!」
この人はすごく背が高くて、怖そう。
「この人が僕の初めての友達、フレンくんだよ!」
「フレンです。君の名前は?」
「アミスタです。よ、よろしく?」
背が高くて怖そうな割に、高くて優しい声をしてる。看護師とはまた違う、男の子
の声。
「アミスタくんはずっとこの病院にいるの?」
「そう。フレン、さんは違うの?」
「フレンでいいよ。そうだね、オレはこの病院に足のリハビリに来てる。」
「リハビリ?」
初めて聞くような言葉。全く意味なんてわからないけど。この病院にいるから病気に関することなんだろうな。
「リハビリっていうのはね、こわれた体を元にもどすために病院でやる運動だよ!」
「なんでユウが言うんだよ。」
「だって、僕も会話に入れて欲しい!」
そうだった。ユウくんのことすっかり忘れちゃってた。こんな大勢で話すのも久しぶりだなぁ。やっぱり、この方が楽しい。
「あははっ」
「また笑ってくれた!」
「笑ったら明るい顔なんだな。」
「あっ。」
この2人でいると自分がちゃんとした人間であるっていう感情がある。大人から人形みたいに扱われ、辛く感じてたけど、この2人は違う。この2人とずっと一緒にいたい!
「ねえ、こ、これからも、一緒にいてくれる?」
「これからもって、今会ったばかりでしょ?ずっと一緒に遊ぼ!」
「オレはずっとここにいるわけじゃないけど、外のことたくさん教えてあげるよ。」
あぁ、これが、友達、と言うものなんだろう。体が熱くて、目が開けられない。これが、涙というものなんだろう。
「もう、何で泣いてるんだよ!」
「嬉し泣きか?ほらほら、泣きやめ。目が溶けるぞ。」
「うぅ、ありがとう。」
ここで僕の、心の中の扉が、ガラガラっと、開いた気がした。
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