7話 後輩とXmasデート

一二月二五日Xmas。今日は、年に一度の聖なる日。


リア充は街中で彼女とデートしてその後家でイチャつき性時間をよろしく過ごし、陰キャの童貞が涙を飲み、男同士で友情を育み、ミニミーと右手が恋人になる悲しき聖夜を過ごすアレだ。




後者になるはずだった俺は、何の因果か、聖なる日に、春風と渋谷駅前に待ち合わせた。




待ち合わせは14時。


 三〇分前に到着して春風が来るまでしばらく待つ。


待ち合わせ場所のハチ公前に彼女は、既に居た。


え?!もういるのか!?早くないか。今、30分前だぞ!?


まあ、俺も、着いているからお互い様か。


人違いかと思われたが、あれはやっぱり春風だよな。




「マっ!」


あそこで、こっちを見ているのは佐藤先輩だよね?


今日は、うんとオシャレしてきたんだから。先輩の心をわし掴んでやるんだ‼


後ろから近づいて、待った―?!なんて言えば、喜んでくれるかな?


「早いな。待ったか?」




「いえ、今来たとこですよ。てか、遠くから凝視してきたの先輩視漢されてい


るのかと思って不審者かなと思いましたよ」




(本当は先輩も早くから来てくれていたんだと嬉しかったけどイジって誤魔化した)






「誰が不審者だ!」


このやり取り、完全に立場が逆だ。


「それ、お洒落したつもりでしょうが上から下まで真っ黒で、どこのアサシンかと思いました」


(黒の剣士みたいでカッコイイな。でも言えない)




「職質されませんでしたか?」




「うっせー、されてねえよ!」




「て言うか、本当なら男が先に来て待っているものですがこれじゃあ、立場が逆っスね!」


(hおんとは服装が似合っていてカッコイイんだけど、この口は思っていることと逆のことを喋ってしまうのだ)


春風はいつものように俺をイジっている。


通常運転といえばそうなのだが、周りから見ればバカップルがいちゃついているように見えるのだろうか


「お前が早く来すぎなんだよ!待ち合わせは一四時のはずだろ?!」


俺も思っていたことだけど、認めるわけにはいかない。


「すいません、楽しみ過ぎてー」


小学生か!


「まあ、いいけどさ。で、どこ行くんですか?」




「どこってお前が言い出したことだから、何か宛があるのかと思っていたんだが」




「えー、何もデートプラン考えていなかったんですか?!信じられな-い!」


春風は俺の胸板をぽかぽかと叩いてくる。


痛いな。力加減を間違っていないか?10連コンボだドン!




「いてーな!元々、お前が今日、遊びたいって言ったんだろ。春風が行きたいところに付きうつもりできたんだけど」




「え?ほんとですか?!いいんっスか?先輩!」と春風は、目を輝かせてくる。






「こんなウソつかないっての!」




じゃあ、わたし、あそこに行きたいです!」




「どこだよ!?」




「ミンスタ映え間違いなしのいい店があるんですよ。一人だと入りにくかったので先輩となら丁度良かったです」




「俺となら丁度いい?どういうところだよ?」


まったく見当がつかなかった。




「行ってからのお楽しみです」


(だって、あそこは恋人にとっての聖域サンクチュアリなんだから)






俺は、渋谷109の中に入っている店らしく連れてこられた。




 109の中なんて入ったことないから場違い感が半端ない。




辺りを見渡せばそこらじゅうカップルだらけ。


 居心地が悪い!ウザイ。リア充爆発しろ!




「先輩、なにキョドってるんですか?キモイですよ。こっちです!」と腕を組まれた。




俺の腕にマシュマロ触感が当たる。なんだかの状況は!?


「おい、春風!当たっているぞ」


どことは言わないがとても柔らかい部位が。


「もー、うるさいなー!当てているんですよ。こういうの好きですよね、先輩」




「お、俺は別にーそんな細やかな胸。俺は巨乳派だしな」




「わたし、Gあるんですけど......」




「へ、へーEくらいかと思ってたな」




全然、細やかじゃねー!ありがとうございます!




二人組の男とすれ違いざまに『リア充爆発しろ』と舌打ちされた。




ああ、俺も爆発対象か。まあ、こんな可愛い女子に腕を引かれていれば




妬み嫉みも飛んでくるか。これがリア充税ということか。




「着きましたよ、先輩」




「ここって......」




今、テレビの情報番組でよく取り上げられている、パンケーキカフェだった。




たしか、ミンスタ映えするパンケーキが売りのデートスポットだったか?




なんで俺がこんな情報を知っているんだ。我ながらキモいな。


それは、いつ彼女が出来てもいいように流行りのカフェは常にチェックしていたというキモ童貞の習性の賜物だった。


「先輩、入りましょう。予約しているんですよ」




「用意周到だな。」




ここ行くの事前に定めておいたな。確信犯め






スタッフに店内に通され、2人掛けの席に通された。




よく見ると店内は、男女のカップルだらけだ。


 俺たちもそういう風に見られているのだろうか?まさかな。


春風とイチャラブパンケーキカフェデートをする。


ミンスタ映えのパンケーキ写真を撮って、食べている姿を佐藤から撮ってもらう。






この写真をミンスタとwriterに、『彼ピとXmasデートなう!』とUPする春風だった。




これが、波乱の幕開けになるとはこの時は思いもしなかった。


                ***

読んでくれてありがとうございます。


すいません。ここ一ヶ月Vtuberにハマって執筆が疎かになっていました。


執筆活動を再開しました。よろしくお願いします。









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