第4回 キャラの書き分け

 第2回、第3回は小説を書いたことがない方向けに色々ご紹介しましたが、今回は小説を書き慣れている方でも注意が必要かも……? というお話をしたいと思います。


 タイトルの通り、「キャラの書き分け」です。

 他人の小説を読んでて、似た口調のキャラが二人ほど会話しているとします。


 例文

「なあ、聖剣は見つかったか?」

「もちろん。森の奥に隠してきたぜ」

「さすがだな」

 二人は道を歩きながら肩を組んでニヤニヤ笑っている。

「ところで、分け前はどうする?」

「え? 俺が総取りに決まってるだろ?」

「なんだとテメー!」

(以下略)

(※例文として適当に打ち込んだ文章です)


 読者は読んでいる途中で「ん? あれ? これ、どっちが喋ってるんだ今?」となり、前の文から読み直す、という手間が発生することがあります。

 例文でいうと、「ところで、分け前はどうする?」というセリフ。

 これは聖剣を隠した男が言ったのでしょうか?

 それとも聖剣を隠すように指示した男?

 どちらにも受け取れますよね。

 こういった混乱が続くと読者のストレスとなり、積み重なると最悪、読むのをやめてしまいます。


 これを防ぐにはどうしたらいいでしょう? というところで今回のタイトル、「キャラの書き分け」が必要になってくるわけです。


 幸い、日本は一人称や語尾の癖などの個性が豊富なので、できるだけ口調でキャラ付けするのが一番手っ取り早いかと思います。

 よく小説で外見の特徴を詳細に描写されているものもありますが、小説は常にキャラのビジュアルが表示されているわけでもないですし、読者もストーリーに絡む重要なもの以外はたいてい覚えていません。外見を書くなというわけではなく、外見だけだと読み分けられないよ、という話です。


 話変わりますが、皆さんFateシリーズってご存知ですか?

 あの作品凄いですよね、あんなにキャラがいっぱい登場するのに、メインキャラはだいたい口調で判別できます(※全員ではない)

 ちなみにFateのキャラクターで二次創作難しそうだなって思うのは岡田以蔵さん(土佐弁がわからない)とかタマモキャットとかでしょうか……。

 タマモキャットは本当に特徴の塊みたいな口調なのに全然真似できる気がしない……。


 まあそんな感じでね、一人称(僕、私など)、二人称(お前、貴様など)、語尾の癖(のじゃ、ですなど)を上手く使い分ければキャラが立つかなと思います。

 方言はその地域に住んでいるネイティブじゃないと難しいかも……。同じ地域出身の読者にめちゃくちゃコメントでツッコまれます。でも例えば「エセ関西弁を喋る怪しい男」とかそういう設定なら全然アリです。


 ちなみに、モブキャラは逆に口調に個性はそんなに必要ないかと思います。

 モブまで濃い味付けをすると、ちょっと文章がくどくなるかな……? という印象。


 どうしても似たような口調にせざるを得ない……といったやむを得ない事情がある場合は、セリフの中に相手の名前を入れて呼びかける、地の文で誰が喋ったか明示する、あるいは一人称もしくは二人称だけでも調整が必要かと思います。片方が「俺」「お前」ならもう片方は「僕」「君」、みたいな。


 キャラの書き分けについてはこんなところでしょうか。

 ご質問、ご意見などございましたらお気軽にコメントどうぞ。

 今回もお付き合いいただきありがとうございます。

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