第12話
なるほどなるほど。さっきの挨拶の時に言おうしてたのはこれのことか。あの時騎士が止めたのは王子が高位貴族の前でその子息を貶めるという問題行動を止めるためだったか。
そもそも社交界に出ない=問題児、ではなく社交界に出ない=公の場に出せないほどの問題児なのかもしれない、が正しい。
つまりはただの噂の域を出ないのである。
そんな事実無根の噂で伯爵家の子息を公衆の面前で貶すなど王子の株を下げ、しいては王家の品位にも関わる。
対してこの場なら子供同士のお遊びの場のようなものでありこのような失言をしても軽いことで済むというわけだ。
どうりでこちらに申し訳なさそうな視線を向けたわけだ。なにせ両親という庇護者もなく立場が圧倒的に上である王子からのこの仕打ち。
俺が年齢通りのメンタルだったら普通に泣くわ。おいそこの騎士。申し訳なさそうに見るだけで許すと思ってんのか。ダメだって分かってるんだからちゃんと注意しろよ。立場とかあるのかもしれないけどさあ・・・。
しかもどうやらこれはこのグループ全体の総意らしい。なにせ止めようとする奴どころか問題に思ってそうな奴すらいない。
いくら子供は流され易いとは言ってもこれはいかがなものか。
そもそも今日の俺の振る舞いは自分で言うのもなんだが年不相応なほどに立派なものであり問題児なんて噂など根も葉もないと周囲に証明できるレベルだった。
それなのに認識を改めずに問題児として俺を捉えている時点で自分の能力の低さを晒しているわけなのだがいいのか。
さて、どう対処しようか。さっき述べたような正論を真正面からぶつけてやってもいいがそれだと余りにも向こうの面子が立たなすぎる気がする。なにせここにいるのは子爵家という例外を除けば家よりも爵位が上の家ばかり、一番上なんて王家だ。だからといって反発せずにこの扱いを受け入れるのは俺、ひいては家の評価に対して悪影響を及ぼす。
あー、面倒だな。この辺りのバランス感覚はまだ教えてもらっていない。
・・・まあ別にいいか。行き当たりばったりで。まずいことになれば普通に両親に助けを求めよう。それに一応騎士って言うまともそうな大人もいるわけだし。立場的に向こう寄りだけど・・・。
「そうですか、それは困りましたね。どうすれば許していただけるのでしょう」
とりあえず下手にでて様子見してみるか。
「ふん!まずは謝罪しろ!」
ふむふむ、正直俺が謝罪する必要ないだろ。しかもここで謝罪したら今後こういった理不尽なことにもうなずいたとして弱みと見られかねない。
「しかしながらその要求には正当性がないと思うのですがいかがでしょう」
「は?意味が分からないことを言って誤魔化すな!おい、ザイード!」
「やれやれ、しょうがないな」
おいおいまじかよ。ここまで話が通じないとは思わなかった。せめてこのザイード君が道理の通じる相手だと思いたいが。というか子爵家の子じゃん。王子と結構親しげだし今のやり取りを見る感じ結構仲いいのか?
にしてもなにかこう・・・なんとも言えない何かを感じる。違和感とも違う何かだ。うーむ、はっきりしなくてもどかしさを覚える。
「そんなに見て、何か僕の顔に付いてるのか・・・?いや、まあいい。君、ちょっとこれを見てくれないか」
そういいながら手を突き出してくる。見てくれないかって聞いてるけど無理やり見せようとしてくるじゃん・・・。
「・・・・・・・ファイア!」
彼の手に魔力が集まり始め、やがてそれらが形作りついにはそれが火球となった。
いやおっそ。構築まじでおっそ。フィリルに今の見せてみろ。そこらへんの蛆虫を見るような目で見てくれるぞ。4歳あたりから見なくなったけどあの目は怖かった。一部の人にはご褒美らしいが俺にそんな趣味はないのでただ単に怖かった。
なんかめっちゃ自信満々にやるからなにかと思えばどうした?というかその火球制御甘すぎて見てるだけでそこらへんに引火しないか不安になってくるんだけど。大丈夫なのか?一応火事になったら大変だから水魔法をいつでも使えるように準備しておこう。
「僕はもう魔法が使える、それにこれだけじゃない」
と思ったら消してくれた。あー良かった。と思ったのも束の間またあのお粗末な構築が始まる。ってあれこれもしかして・・・?
「・・・ライト!どうだこの光は!僕はただ魔法が使えるだけじゃない!光属性も使えるんだよ!」
うわーまじかー・・・。まじかー・・・。えー、嘘ですやん。
「ふん!もんだいじめ!ザイードの魔法をみて声も出ないか!」
やばいって。やばいやばいやばい。なんでー?助けて。まじでだれか助けてください。俺なんか悪いことしたかなあ・・・。
「貴族には己のしゅぎしゅちょうが違えたとき決闘するという伝統がある。それにのっとってもいいんだぞ。さあアルカ、君はどうする?」
光属性が使えるとかこいつ!主人公じゃん!
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