白桃の艶めかしく

 いつまでも、と彼女は口にした。僕は喜んでしまおうかと悩んで、やはり出来なかった。屈託のない笑顔と言葉で、僕に真意だと信用させてくれた。

 初めてあったときから君は変わらなかった。いつまでも、君のままでいてくれた。

 それが嬉しかった。僕も変わらず、君を疑わずにすんだ。

 とてもいい人だから、きっと何処に行っても恙無いだろう。

 人は君を愛し、それを君は善意で答えられる。簡単なことじゃない、素晴らしい才能だ。僕にもそうしてくれたね。だから、今は申し訳ないと思う。

 みっともない執着は終わりにする、そうしなきゃいけないね。

 君の言う通り、これからも、いつまでも、僕たちは親友だ。

 瑞々しい輝きの、その慈顔に、僕は見つめ返した。そんな顔で見てくるから勘違いしてしまう。やるせない。

 白桃のように、透き通った頬、腫れぼったい唇を、ただ一瞥だけして目をそらした。

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本所吾妻橋より ぜっぴん @zebu20

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