第75話スケルトンから逃げよう
「スケルトンは任せるにゃ。ニールはアンナを連れて階段を頼むにゃ」
「うん、了解」
いくら大量のスケルトンがやって来たとしても、キャットアイのランクはAだ。本人いわく、群れとの戦いは得意ではないとのことだけど、Eランクのスケルトン程度なら問題にならないだろう。
後ろを振り返ると白い骨がきれいに飛び散っていく。スケルトンの動きが遅いのもあるけど、まるで相手になっていない。これなら大丈夫そうだ。
僕は僕の作業に集中しようか。
まずは、硬そうに見える壁をえぐるように、一段目、そしてすぐに二段目。
「アンナさんは先に二段目に」
「は、はいです」
二段分の土砂は一段目を埋めるように使う。そうすることで、キャットアイは登れてもスケルトンが登れない高さにできる。
「これでよし。じゃあ、どんどん階段をつくっていこう」
インベントリの扱いにもかなり慣れてきたこともあって、適度なサイズでスムーズに階段が出来上がっていく。
段数が十段を超えたあたりで、スケルトンの脅威からは完全に解放された。
「やるにゃん」
下にいるスケルトンは頑張って登ってこようとするものの、インベントリに追加された岩を落とすことで骨がバラバラに砕けていく。
骨の山でいずれ階段に到達してしまうかもしれないけど、その頃には僕たちはかなり上にいることだろう。
「いてっ」
カタカタカタカタ
追いつけないと理解したスケルトンが自分の骨を投げはじめた。そんな簡単にとりはずして投げられるものなの?
もちろんたいした攻撃ではないので、ダメージはゼロといっていい。ただ、カタカタと笑われているようで癇に障る。
「スケルトン必中の石をくらえ」
インベントリから昨日の夜に手に入れた石を取り出して、僕に骨をあてて笑っているかのようなスケルトンの頭にぶつける。
さすがは必中の石。攻撃力はないものの、急な攻撃に体勢を崩したスケルトンはそのまま後ろ向きに倒れてしまった。
そして倒れた拍子に頭蓋骨が割れてしまい、そのまま動かなくなってしまった。理由はわからないけど、スケルトンの弱点は頭蓋骨らしいんだよね。
「面白いアイテムにゃ」
「攻撃力はないけどね」
カタカタカタカタカタカタ
そんな僕たちのやりとりをみていた他のスケルトンも登るのをあきらめて骨を投げはじめた。
「うおっ、地味に痛い」
「ニールは早く階段を頼むにゃ」
「そ、そうだね」
飛んでくる骨はキャットアイが防いでくれる。中には頭蓋骨を投げこむスケルトンもいたけど、投げ終わった後にそのまま倒れていた。自爆だろうか。あまり頭はよくないらしい。
そこからは僕も慣れた感じで階段をつくっていき、下では埋め尽くすようにスケルトンの群れがカタカタとしている。
どれだけスケルトンいるんだろうか。
かなり登ってきているけど、どの辺りから崩落したのかはよくわからない。結構な時間落下してたと思うから、まだまだ相当上に行かなければ戻れないのかもしれないけど。
「ニール様、アダマンタイトの鉱脈です」
「アダマンタイト!?」
「はい。この奥から微かにアダマンタイトの匂いがします」
「でかしたにゃ、アンナ」
登りながらアダマンタイトの鉱脈にぶつかるとか運がいい。いや、運がいいなら崩落に巻き込まれることはないか。
それでも、アダマンタイトが採掘できるなら問題ない。過程は気にせずに、結果だけ考えようじゃないか。
「こっちの方向だね」
「はいです」
硬い岩盤もインベントリならあっさりと切り取れる。しかもレベルアップしてその容量は倍になっているのだ。
僕がアダマンタイトを手に入れたのはそれからすぐのことだった。
鉱石
→鉄鉱石(少量)
→アダマンタイト鉱石(小量)
小量なのは、レア鉱石だからしょうがないのかもしれない、それに矢じりとして使用する分が必要なのでそこまで大量にある必要はない。
「量はどうでございましょうか?」
加工によってどのぐらいのマイナスが出るのかわからないけど、多くみて三つぐらいは矢じりとしてとれるだろうか。
「あともう少しあればありがたいかな」
「わかりましたです」
矢じりは消耗品だし、狙いが外れてしまえば失くなってしまう。何度も使えるのが理想ではあるけどそうもいってられない。
で、あるならばせめて十個分ぐらいは用意してあげたい。それでも少ないとは思うけどね。
精度の高いアルベロの腕なら、そう外れることもないはず。定期的にアダマンタイトを採掘するとしても、鉱脈が簡単に見つからない可能性がある以上、採れる時に確保しておきたい。
「あちらの方に鉱脈が伸びているようでございます。少し離れますが大丈夫ですか?」
「うん。問題ないよ。少し遠回りになるけど、向こうへ階段を延ばしていくね」
よかった。まだアダマンタイトの鉱脈はあるようだ。これなら何とか量を確保出来そうだ。
さて、どんどんスピード階段アンド採掘を完了させてお屋敷に戻りたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます