第14話 ドスケベ同士?(笑)

『こんばんは、玉枝たまえさん』


『おっ、ノリ坊。早速連絡を寄越すなんて……飢えているね?』


『ま、まあ、否定はしないっすけど……』


『正直なやつ。で、何について話そうか?』


『そうっすね……玉枝さんの趣味は?』


『年下いじめ♡』


『まさかのパワハラ発言!?』


『ノンノン、娘限定で』


『どちらにせよ、最低だ』


『そこにプラス、マセガキも追加されたから……本日より』


『あの、そのマセガキっていうのは……』


『君のことだよ♡』


『あ、あのぅ~……おてやわらかに』


『とか言って、本当は楽しみなんでしょ? 年上のお姉さまにいじめられるのが』


『お姉さま……』


『何よ、お姉さまじゃなくて、おばさんだって言いたいの?』


『いや、玉枝さんは最年少だから、違和感ないっすよ』


『はっ?』


『あっ……た、玉枝さんは若々しいから、十分きれいなお姉さんです』


『ほら、やっぱりマセガキじゃん♡』


『そ、そう言う玉枝さんこそ……エロいじゃないっすか』


『だって、旦那に構ってもらえない、さみしい女だもの』


『でも、玉枝さんほどの女性ひとなら、男が寄って来るでしょ?』


『そうだね、エロマセガキとか』


『何か長くなった……』


『ていうか、今週末って空いている?』


『今週末? どうしてですか?』


『んっ? まあ、その……デートでもしてみる?』


『あっ……』


『どした? 嫌なの?』


『いや、ぶっちゃけ、玉枝さんとマジデートしたいっすけど……ちょっと、先約がありまして』


『まさか、他の女?』


『…………』


『……ふぅ~ん? ノリ坊って、可愛い奴だと思ったけど、クズなんだね? 見損なったよ』


『そ、そんな……』


『ちなみに、その相手も熟女さん?』


『……ノーコメントで』


『このクソクズエロ助め』


『マジで勘弁してください』


『……なーんてね、別に怒ってないよ』


『マジっすか?』


『ただ、相手も人妻なら、タイホされないように気を付けなよ? お互いにね』


『そ、そうっすね。まあ、ちょっとお茶とかするくらいなので……』


『じゃあ、まだその女とはエッチしていないの?』


『な、何てこと言うんすか?』


『はは~ん? そしたら、ノリ坊の童貞はまだ誰のモノでもないんだね?』


『ど、童貞とか……決めつけないで下さいよ』


『まあ、ノリ坊はスケベで積極的だけど……やっぱり、童貞かなって。まあ、女のカンだけど』


『……はい、童貞です』


 前世から。


『やった♪』


『何がやったなんすか。男は早く卒業しないと、クソダサいんすよ』


『だったら、ギルティーな人妻に手を出さないで、真っ当に同年代と恋愛しなさいよ(笑)』


『いや、生意気なメスガキに用事はないので』


『アハハ! それ、うちの娘のこと言っているの?』


『あ、ごめんなさい……』


『まあ、その通りだけど』


『その、俺やっぱりどうしても、熟女が好きなんすよ。可愛いし、玉枝さんとか』


 すると、それまで流暢だった返信が止まった。


 あ、あれ?


 もしかして、外した?


 引かれた……とか?


 ピロン♪


『……あんた、マジで犯罪者だから』


『えっ……ご、ごめんなさい』


『ううん、謝っても許さないから……いたいけなおばさんの気持ちを弄んで』


『いや、弄ぶだなんて……むしろ、弄んで欲しいっす』


『ふふ、本当に変態くんね。二度と、娘に近寄らないでくれる?』


『えぇ!?』


『だって、もう会う必要もないでしょ? こうしてあたしと直に繋がっているんだから……不満?』


『いえ、大満足です』


『ぶはっ!? ノリ坊、あんたやっぱ面白すぎ! 最高!』


『はは、玉枝さんこそ、最高ですよ』


『じゃあ、今度デートする女とどっちが良いの?』


『それは……』


 俺の脳裏に、笑顔の志津江さんが浮かぶ。


『……甲乙つけがたいっす』


『あんた、やっぱクズ男だわ』


『申し訳ありません……!』


『少しは否定せんかい』


 文面だけでも、快活に笑う玉枝さんの顔が浮かぶ。


『はぁ、楽しいやりとりもここまでにしようかしら』


『あれ、今晩は寝かさないんじゃ……』


『あのね、いくら美人で若々しいあたしでも、もうおばさんなの。体力をちゃんと考えないといけないの。分かる?』


『はい、分かります。その発言がもう、たまりません』


『ドスケベくん♡』


『ありがとうございます』


『しかも、ドMかよ(笑) じゃあ、またね』


 玉枝さんとのやりとりを終えると、俺はベッドに身を投げ出す。


 しばし、天上をボーっと眺めてから……


「……シコろ」


 と、ズボンを下ろした。







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