第27話大雨警報のサイレン

「キャッ!」

 時子さんの背中から叫び声が上がり前のめりに倒れて行った! 


ハアッ、ハアッ、ハアッ!

 

 動悸が激しかった! 



居た堪れなかった!

 この感情はどんな言葉よりも表現出来なかった! 


こんな想い・・・! 


この焦燥感! 


僕の慟哭! 


何なんだ、時子さん? 時子さん! 


 無言で抱き締めた刹那、ウォーオーーン! 


ウォーオーーン! 


ウォーオーーン!


 ウォーオーーン!

「空襲!」パチッ1と眼を開けた時子さんは上体を起き上がらせ僕の方を向いて背後から突き飛ばした事を咎めるでは無くサイレンの鳴っている外の水車小屋が気になる様で、本能的に飛び上がり足早に工場から出て行った! 


 暫くしてザーザーと激しい雨音が聴こえて来たからフェリーの中で秋雨前線の南下が早まっている事を天気予報が報じていたのを思い出した。


 八月後半から近畿の総雨量が1000ミリを超えると言う予報だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る