第26話時子にタックル

夕食は蒸し野菜に煮魚一切れ味噌汁、茶碗に一杯の米飯だった。


夕食を残していてくれるとは有り難く酉島に「あざっす。」


と礼を言ったが怪訝な顔をされてしまった。


「10時消灯だぞ!?」


と言い捨て外へ出てしまった。


 今が昭和20年ならば、この盆休みに終戦を迎える筈だ! 


僕は時子さんにヒソヒソと、


「明日、天皇陛下の玉砕放送で日本が負けるよ?」


「この非国民!」


と言う筈の時子さんが


「そうね・・・。」


小首を傾げて小鼻をヒクヒクとさせて、しきりにそれを繰り返す時子さんに堪り兼ねて、「どうしたの時子さん?」


「匂わない?嫌な匂い・・・。」


それきり口を噤んだ時子さんは、ヨロヨロと立ち上がりもんぺの埃をパンパンと尻を叩いて落とした後、工場内の一角に置いた大きなリュックサックを目掛けて歩き出した時子さんの行動を黙ってみていた僕は居ても他っても居られなくなり、時子さんの背中に「ワアーッ!」


と叫びながらぶち当たった!


ドーーン! 


「キャ

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