第19話ヴィーナスブリッジ
だからフェリーの上では煮え切らない面持ちの俺に視線を落として、「神戸に行くのは詰まらんのか、コーダイ?」ただ何でフェリーにしたのか理解に苦しむと苦情をいったら苦し紛れの言い訳は二度噛んだ。
「車の運転よりもビールが飲めるじゃないか?」フェリー会社が聴いたら大層喜ぶんだろうな・・・。
そんな事を真顔で言われたら未成年の僕は、そーですか?としか言いようがなかった。
車だったら徳島自動車道に乗って二時間ばかりで神戸に着く。
フェリーだと松茂から青木まで半日ばかり、船の中でじたばたしなくちゃいけない。
しかも青木に着いたら東灘区、灘区、中央区、兵庫区、北区と五つの区を股がらないといけないので、面倒だ。
「オマエが運転してないだろ、文句を言うな子供のクセに!」と、たしなめられてしまった。
ここまでは郁美も居たのに、ここからは郁美が居ない・・。
郁美は、ベリーショートが似合う身長177センチの長身を活かしてバスケットボール部のレギュラーでエースだった。
しかも甘えん坊・・・。
「もし、お兄ちゃんとはぐれたら?」
「だったらビーナスブリッジを知ってるだろう?」
「恋人達の聖地だからそこに絵馬をぶら下げてなんか書いておいてよ?」何気に呟いた言葉に頻りに頷いていた。
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