第31話 警告(4)

 ご飯も大体片付きましたし、そろそろデザートでも頼みましょうかという朔子さんの提案に、少し迷ってから、わらび餅を注文する。私は甘いものが大好きなので、いつもなら大はしゃぎなのだが、この日は気分の落ち込みのせいか、あまり食欲がなく、食べてもそれほど元気にはなれなかった。せっかくごちそうしてくれた朔子さんの手前、白けたリアクションを取ることはできなくて、とりあえずおいしいとは言ってみたものの、うまく笑顔を作れた自信はない。そんな私の心情がうつってしまったのか、朔子さんも普段より言葉少なだった。ぜんざいを木さじですくう手も遅く、2、3口食べるごとに憂鬱そうな面持ちになり、物思いにふけっている。ぜんざいが口に合わなかったのだろうか、などと余計なことを考えているうちに、彼女も食べ終わり、帰る時間となった。


「星がきれいですね」

 駐車場を歩きながら、朔子さんが言う。

「夏だと、もやがかかって、こんなにはっきりとは見えないですよ」


 声をかけられたのはそのときだった。


「おい、あんたたち、この前の、天界交通の人たちだよな」


 振り返ると、背の高い大男―以前ヤエちゃんを袋叩きにしていた自警団の、首謀格とみられる男―が腕組みをして立っていた。この前の時のように子分たちは連れていなかった。


「こないだのガキのことで、話があるんだが、ちょっと酒場まで付き合ってくんねぇか」

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