第7話

「いい?解らない事は、全部、ゼウスさんに聞くのよ?」

ママが、そう言って寝かしつけてくれる


「今日は「桃太郎」のお噺はしてくれないの?」


「そうね。今日は、ゆめちゃんに噺てもらおうかな?」


「うん!じゃあ、始めるね。」



・・・むか〜しむかし、ある所に、

お爺さんとお婆さんがいました・・・


ゆめは眠りについた・・・




「来たか、来たか。」


目を開けると田舎の風景に茅葺き屋根の建物があった。

また、場面転換をして…今度は何もない所にテーブルがあり、3人が座っていた…。



「儂等の事を信じてくれたかの?」


「はい。パパとママが、「ゼウスって、神様だよ」って、教えてくれたよ。」


「そうか、そうか!では、儂らを元に戻してくれるかの?」


「どうやって?」


「え?」


「・・・・・・」


「え〜、どうして分かってくれないかな〜、ねぇ、これ、何かの嫌がらせ?儂、君を怒らせるような事したぁ〜?」


また、「全知全能の神」は駄々を捏ねた。


「と、取り乱してしまった…スマン。」


「あの、ママが解らない事はゼウスさんに聞くようにと言ってました。」


すると、ゼウスは顔を上げ


「なぁんだ、それ早く言ってよ〜、何でも答えちゃう、質問、カモーン!」


「私は何もないのだけど…。」


ゼウスの顔が引きつる…。


「でも、パパやママ、おじさんが、いっぱい知りたいって言ってた。」


「そうか、そうか、でも、その前に儂らを元に戻すのが先じゃ。力が足りんからな。」


「今度は寝る前に「ちゃんとした桃太郎の噺」を聞いてから、眠るんじゃ。そう、パパとママに伝えるんじゃ。分かったの?」


「はい。わかりました。」


「では、また明日の〜。」


暗闇の中を「彷徨う」と言うよりも「浮いている」と、


「ゆめ、朝よ。」


ママの笑顔が見えた。

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