あとがき


 読んでいただき、ありがとうございました。この話は実際に起こったことであり、脚色は一切しておりません。ですので、大変読みづらく、全く面白いものではなかったと思います。しかし、どうして私がこの小説を公開しようと思ったのか。それはこの事実を忘れないため(どうやったって忘れないでしょうけど)ですが、時にメディアはデタラメばかりを報道する事、凄惨なこの世の去り方をすればするほど、それにつけ込む輩が湧いてくること、どう足掻いても時は進む事。それを伝えたかったのです。と、言うのは建前で、時が経った今なら、これを過去として、やっと前を向けるのではないかと、まさに、自慰行為のような理由での執筆です。


 彼女の死はもちろんつらく悲しいものではありましたが、それはきっかけに過ぎず、私という存在、私の思想、価値観が歪んでしまうほどの、周りの人間たちの行動が私を苦しめました。そして、なぜか私は犯人である『陸上部の彼』を一切、全く憎むことができなかったのです。


 そして、最後に残る疑問ですね。彼女は死ぬ間際まで私のことが嫌いだったのでしょうか。

 これは、彼女にしか知り得ない事ではありますが、きっと、嫌いではなかったのだと思います。『嫌い』という強い言葉ばかり先行してしまい、当時の私はその『嫌い』に含まれる言葉の意味を理解できなかったのでしょう。彼女は真っ直ぐで誠実であるが故に、私に"そう"言ったのでしょう。私が未熟でした。これは、そうであってほしいという私の願いです。



 ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

 普段は児童小説を書いておりますので、お口直しにどうぞ。






夏風小春

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最初で最期の彼女 夏風小春 @pyaaaaa

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