第9話 魔道具ギルド

 ダンジョンから帰った翌日。私はアイリスと二人で魔道具ギルドへやってきた。

「こんにちわ。マギ・デザイナーの申請に来たんですけど。」

「いらっしゃい。こちらへどうぞ。」

「あっ、お願いします。」

「随分若いわね。もしかして代理申請?」

「いえ、私が申請するんです。」

「あらっ、あなたが申請するのね。年齢は?」

「16才です。」

「一応基準は満たしているのね。ギリギリだけど。」

「へえ、年齢制限なんてあるんですね。」

「そうよ。冒険者ギルドだってあるでしょ。」

「そういえば15才からだったよな。」

「ここは16才からなのよ。」

「ふぇ、本当にギリギリだったんですね。」


「まあいいわ。この申請書に記入してちょうだい。審査用の魔道具5個は持ってきているわね。」

「あの、4個でも申請できるって聞いたんですけど。」

「えっ、確かにできるけど、それはそれなりの実績がある人の特例措置なのよね。」

「ああ、全部うちらのパーティーで導入しているから、大丈夫だろ。」

「パーティー内でね……、まあいいわ。」


 私は申請書に記入してカウンターのお姉さんに手渡した。

「全部記入してあるわね。じゃあ、効果の確認をするから中庭に出て頂戴。」


 私たちはお姉さんに連れられて中庭に移動します。

 お姉さんは黒のタイトスカートに白のブラウス。身長は165センチくらいでしょう。

 栗色のショートカットで、とても良いスタイルをしています。

 つまり、私にとっては敵……。


「じゃあ、私が魔道具を使って確認をいたします。最初は”身体強化”……これって、市販されているじゃないの。ダメよこんなの。」

「シャキのはレベルが違うんですよ。騙されたと思って起動してみてください。」

「まあ、審査に出されたものだから使うけど……。」

 お姉さんに胸当てを装着してもらいます。

「胸が苦しいわね。なんで大きいのにしないのよ。」

 やっぱりこの人は敵だ……。

「それで、魔法円が二つあるけどどっち?」

「あっ、左側でお願いします。」

 お姉さんが魔法陣に触れると、キュイーンという作動音とともに魔法陣が展開され、お姉さんの体が金色に光りだした。

「な、なんで身体強化なのに魔法円の具現化が起きるのよ!」

「シャキの魔法陣は、全部そうなんですよ。軽く跳んでみてください。」

「こ、こうかしら……キャッ、なにこれ!」

 お姉さんは1メートル以上跳ねた。

「今度は力いっぱいジャンプ!」

「待ってよ、心の準備が……えいっ!」

 お姉さんは5メートルほど飛び上がった。

 頂点に達したとき、お姉さんは気づいたようにスカートの裾を押さえた。

 ちっ、勘のいい女だ……。

「どうなってるのよ、コレ!」

「だから、シャキの魔法陣は一味違うんですよ。」

 お姉さんは足元の小石を拾って、掌底を叩きつけた……石は粉々に砕け散った。

「ちょっと待っていてちょうだい。」

 お姉さんは慎重に建物の中に入っていきました。

 ちなみに、金色に光らせたのはスーパーヤサイ人のイメージです。

 ”おめえ、強そうだな”とかいって、ケンカを吹っ掛けてばかりいるアニメのヒーローです。


 数分後、お姉さんは3人の男性を連れて戻ってきた。

「それで、リンは何で光っているんだ。」

「身体強化の効果が続いているからです。」

「どういうことだ?」

「そちらのシャキさんが、新規登録にみえられて、身体強化の魔道具を起動したら……。」

 お姉さんはさっきと同じようにジャンプしました。スカートを押さえて。

「なんだそれは……。」

「起動した時には、魔法円の具現化がおきました。」

「まさか……。」

「そうです。Sランク要件です。」


【あとがき】

 こういうシーンは書いていて楽しいですね。

 タイトスカートで5m落下したらどうなるんでしょうね……。男なので想像もできません。

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