第29話 新年の願い事
起きたらまだ真っ暗で、初日の出を待つような時間。まぁそっか、昨日早く寝ちゃったもんね。とはいってももう一度寝る気分にもならなくて、体を伸ばす。
寝ている間に新年を迎えちゃって、実感があまりないけど、時間はすでに新年なのは取り残されたような遅れてるような、そんな気分にちょっとなる。
スマホを覗いたら昨日の夜に初詣のお誘いが来てたので、行くほうの返事をして。暇になって普段と同じようなことをして時間をつぶした。
気づいたら初日の出はすでに終わって普段よりちょっと遅めな朝。よくあるお正月のお笑い番組を適当に見つつ、おせちを食べて。あとお年玉をもらったりして、あっという間に約束の時間が近くなって。着物なんて持ってないから、普段と同じような感じに着替えて。
やっぱり新年になったからといって急に時間に余裕を持てるようになったりするわけじゃないよね。今年の目標はそれになりそう。
夏祭りの時にも来た神社のそばで、待ち合わせて合流。厚着をしてきたとはいえ、風がとても冷たい。神社はすでに混んでいるけど、これでも早めに来たほうなので正月の恐ろしさを感じる。
他のみんなは着物で来てるみたいで、それで時間がかかったみたい。気合入ってるなー。というより、私だけ普段着だから逆に浮いてるかも?
長い列に並んで待つこと15分くらい?やっとお参りするところまで来た。
お賽銭を投げて、二礼二拍手一礼。健康とか、恋愛のこととか、友達の悩みとか、たくさんのことを詰め込んでお祈りした。もしかして、あまり詰め込めすぎると叶わないかな?なんて思いつつ、横をちらっと見る。
隣で、彼女は、何を考えて何を祈ったんだろう。
そのままおみくじを引きに行く私たち。私は末吉。恋愛運があまりよくないんだって。そんなぁ。ちなみに、小春さんも同じ感じ。今年何が起こっちゃうんだろう?また不安要素一つ。
柊さんは大吉出してた。あのポジティブな性格だから、運も寄ってくるのかな、なんて。昔みたいに周りが明るくて、私だけ一人みたいな気分にちょっとなる。
そのあと、クラスメイトにも何人か会ったよ。私はあまり話せなかったけど。
今日は暗い顔、見せなかったな。悩み、解決したのかな。最近は他人、特に彼女のことばかり見てる気がする。それは純粋に他人への心配かもしれないし、もしかしたら不安の裏返し、あるいは自分のつらい何かの悩みを隠すために。今の自分に悩みは特にないはずだけど。
あ、残ってる宿題やらないと。きっとこれからも、このくらいの関係性でみんなと続いていって、小春さんの彼女で、高校生で。今年は3年生で受験もあって、それで。それで。
きっとそんな感じで続いていくはずだ。それを自分で疑ったら全部だめになる気がして、何度も心の中で唱えなおした。
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