第28話 クリスマス、後夜祭

 家に帰ってきて、親に心配から怒られて。そして部屋に戻ってきて、コートを脱いで身軽になる。そして眠くはないけどベッドに寝転がって、唇に手を当てる。

 初めて、ちゃんとキスをしてしまった。した瞬間は何も考えられなかったけど、今になっていろいろと考えてしまう。あの柔らかい感触とか、目を開いたときのとても近くで見た綺麗な顔とか。こうやって列挙するととても変態みたいだけど、その全部が目とか脳に焼き付いて離れない。今、どんな気持ちなのか自分でもわからなくなっちゃって、少しもやっとしてる。

 そんな現実から目をそらすように、クリスマスパーティーの時のプレゼント交換を思い出したので、開けてみることに。私は結局、どういうのにしたらいいのかわからなくて少しお高いシャーペンにしたんだよね。星乃さんからもらったのは...

 手持ち無沙汰解消のボタンポチポチするやつだ。よりにもよってなんでこのチョイスなんだろう...まぁ面白いからいいか。ポチポチ。


 思わぬ便利なものを手に入れちゃって、より一層いろいろなことを思い出しては考えちゃう。変な夢を見ちゃったこととか、パジャマを着たかわいい小春さんとか、それ以上にお泊りして隣で寝てたこととか。あと、キスをするときどこか悲しげな顔をしていたとことか。

 思い出してみると、デートのときとか、日常の中とか、最近ちょっとずつ暗い顔をしていることが増えた気がする。私はそうだけど、小春さんもどっちかというと秘密を隠しちゃうタイプなのかな。秘密を話してほしいけど、その話を聞いて関係が変わったり、何もできないときの罪悪感とか、いろいろなことが頭に溜まって。自分が一番わかっているからこそ、難しいな。


 因みに、柊さんはカードゲームを、海野さんは本、高月さんはオルゴール、小春さんはスノードームをあげたみたい。みんな思ったよりふざけてなくて安心した。変なのもらっても困っちゃうからね。


 いろいろなことを考え続けて、普段は早めに終わらせる宿題も残したまま、大晦日。

 世間では歌合戦がやってて、恋の歌を歌ってる人もいっぱいいて。でもそれが全部別世界に見えて。感じてる気持ちは、きっと同じだけど。昔からの悪い癖で暗いほうに引っ張られてから、ずっとそのままになっちゃってて。普段ならきっと新年を迎えるまで起きているんだろうけど、そんな気分にもなれなくて。次会ったら、ちゃんと話そう、なんて逃げの感情を持ったまま、炬燵でそのまま眠ってしまった。

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