第26話 クリスマス、パーティー

 秋もあっという間に終わっちゃった。最近も毎日楽しくて時間が速く進んでいる気がする、そんな肌寒い日。

 そんなわけで、すでにクリスマス商戦のシーズン。みんなで集まってクリスマスパーティーをするんだ。とはいっても、みんなの家の都合でカラオケで。カラオケだと大声を出していいから、よりちょうどいいらしいし。

 そんなわけでプレゼント交換用のプレゼントを持って。小春さんへのプレゼントも忘れないで。あ、雪が降るかもしれないって言ってたから傘も持たないと。

 終業式も終わってすぐ家に走って。お昼ご飯を食べて更にいろいろ準備して、しゅーごー!

 みんなお菓子を持ちよって広げつつ、わいわいがやがや。普段カラオケなんていかないよね~、とかジュース何する?なんて話が軽く出て、みんな思い思いに飲み物を注文。私は普段あまり飲まないからコーラを頼んだ。

 そんな時、ふと星乃さんが何本かの割られた割りばしを取り出す。突如目がキラキラし始める柊さん、それと真逆な反応の私たち。ま、まさかこれは...

「王様ゲーム!?」

「なっつかしー!!!」

 まさかこれを三次元で見ることになるなんて想像もしていなかったけど、確かにこの赤で端が塗られた割りばしとかはまさにそれだ。手で持って隠すみたいで、それ以外に準備もいらずあっという間に環境が整ってしまった。

 説明不要だろうけど、王様ゲームっていうのはみんなで棒を引いて、王様になった人が番号で人を指定して命令できるゲーム。いつも大体暴走して最後はとんでもないことに...

 !?

 小春さんにあんなことをさせることも...!?こういう妄想が早いのはきっと前世からだ。そのパーティーのムードとスピードに普段はやらなさそうな人も断れず、総勢6人の王様ゲームが始まった。


『王様だーれだ!』

 最初に王様になったのは柊さん。

「はじめは軽めに...2番は1分間スクワット!」

 出た、運動部。そんなわけで小春さんがスクワット中。

「まさか...こんな服装で...スクワット...する...なんて...思ってなかったんだけど...」

 意外とつらそう。確かに、スクワットって普段の運動と違う筋肉使うもんね。

 かわいい服装してスクワットしてるギャップが面白かった。


『王様だーれだ!』

 次は高月さん。何をさせるのかわからなさすぎる。

「うーん、じゃあ3番、肩揉んで」

 肩揉みかぁ。変な命令じゃなくて安心。とはいえ、注文が多いのが大変だ。あとで反撃しちゃおう、なんていたずら心で考える。やっぱり、よくわからない感じの子だなぁ。もう半年以上の付き合いなはずなのに。


『王様だーれだ!』

「私です!」

 海野さんかー。王様、望んでるときはいつも来ないの、なんでだろ?

「んーじゃあ...5番は好きな人の匂わせ!いなかったら黒歴史公開?」

 うわー、いかにもJKっぽいテーマが来た。とりあえず手元の割りばしを除いて、自分が5番ではないことに安堵する。じゃあ5番は誰...?

「また私かー。恥ずかしいんだけど~(笑)」

 小春さんだ!!!思わずドキドキしてしまう。周りにばれたらいけないので心の中で、ね。

「好きな人はねー、んー、優しくて、かわいくて、素敵な人!」

 うぅ。そう表立って言われると、恥ずかしい。それに、あのクラスにかわいい男子なんてほぼいない。みんなざわざわし始めたけど、そこは本人がうまく誘導して次のゲームに。まったく、変なところで緊張させないでよ。直では言えないけど。

 その後も何回かやって、いい感じに盛り上がったところでおしまい。私、一度も王様になれなかったんだけど。不運属性はなかったはず、だよね?


 そしてプレゼント交換。王様ゲームの道具を再利用して、くじを引いて出た番号のプレゼントを渡す感じ。つまり、誰が何番かが先にわかっている。変な独占欲が発動しちゃった私は、もちろん小春さんのを狙う。向こうも燃えているのでたぶん似たようなところだろう。

 そんなわけでくじを引いて、柊さん1番、小春さん2番、私3番、そのあと高月さん、海野さん。赤印は星乃さん。

 つまり、柊さんに高月さんの、小春さんに私の、私に星乃さんの、高月さんに小春さんの、海野さんに柊さんの、星野さんに海野さんの、って感じみたい。人数が多いとややこしいね~。

 とりあえずプレゼントはあとで開けることになって、せっかくのカラオケなので歌を入れ始めて。そのあとは普通のカラオケになった。


 そのまま終わったら、平和だったんだけど...。

 7時を過ぎてもうすぐお開きだねー、なんて話をしていたら、柊さんに親からLONEが来たみたい。え、大雪!?電車が止まってる!?

 そんなわけで急いで帰る準備をしたけど、私と小春さんは電車で来てる組。さてどうしよう...

「とりあえず私の家のほうが近いから、そっちに寄っていきなよ」

「親も今日は帰るの厳しいみたいだし、泊まってってもいいってこっちは許可もらったからさ」

 私も急いで親に連絡しつつ。そして、まさかのお泊り会になっちゃったみたいです...!

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