第20話 文化祭本番
文化祭当日。綺麗な快晴で、ステージとかも屋外でできそうだ。
お店番をやらなくていいのは楽だけど、文化祭委員だからいろいろなお店を回ってちゃんとお店がまわってるかを見たりしなきゃいけないんだよね。それはちょっとだけめんどくさい。でもそれ以上に彼女と一緒に文化祭を回る、実質的なデートだと思ってしまう感情のほうが大きい。
「いい?あまりイチャイチャして目立ちすぎちゃダメなんだからね」
「はーい」
返事からは心配でしかない。まぁ皆の前ではふざけないだろうけど...
あっという間にスタートの時間になって、まずは自分たちのクラスを見に行く。一番緊張しないしね。駄菓子屋だけど、それだけじゃ教室がスカスカだから、輪投げを入れてほとんどミニ縁日みたいな感じになった。輪投げをして、結果に応じて交換チケットがもらえる、みたいなやつ。自クラスの評価はしないルールだから、純粋に挨拶だったり、楽しむ側だったり。まだ始まったばかりだからお客さんは少ないけど、うまく回っていそうだ。
そのまま隣のA組のメイド喫茶に。ここは体育祭の時もだけど、クラスメイトの一体感とか協力意識がすごい高いと思う。今は女子陣がメイドをやって男子陣が調理をしてるけど、途中で逆転するという魅力も使って人を呼んでいるみたい。小春さんが今にも嫉妬心に火をつけそうだけど、仕事なので気づかないふりをしておく。あとでかまってあげないとな。
そしてあとはC組のお化け屋敷。こっちもいかにもなよくあるやつ。こっちは、驚かせを少なく、かつ怖さを出すことを目標にしてるみたい。ちょっと怖いけど、これも仕事だから...恐る恐る二人で入る。もともとのキャッチコピー通り、どちらかというと雰囲気が陰鬱な感じのお化け屋敷で、井戸でお皿を数えている女性がいたり、口裂け女とかがいるようなタイプ。垂れている柳みたいなのがふとかすった感触とかがすごい怖い。小春さんはキャー、って腕にしがみつくけど、ベタすぎるし歩きにくいから正直やめてほしい。でもドキドキするからいっか、なんて。
スタッフ交代時間も終わって、午後。委員だと店員役を任されなくて楽なんだよねー、なんて。思っていたんだけど...
「あ、いらっしゃいませー、まずは輪投げにご案内しまーす♪」
紆余曲折あって一時的に店員を二人ですることになってしまった。小春さんが接客、私が販売とかのほうの立ち位置。さすが優等生?私は喋るのとか苦手だし羨ましい。
実際は20分とかなはずだけど、時間が2倍にも3倍にも感じられて大変だった。店員やってた人は流石だなぁ。
あ、次は屋外ステージで軽音楽部が演奏する時間だ!星乃さんが演奏するらしいし急がないと。思わず小春さんの手を引っ張って廊下を走ってしまう。夏祭りの時の逆だ。
そしてステージがある校庭についたときは息切れしてた。なんとか星乃さんの出番には間に合ったみたいで、観客の熱気に息切れが混じる。
そして星乃さんのMC、バンドの演奏。今流行りのアニソンと、昔からの定番曲のコピーバンド。普段は感じることのない音圧に、とっても興奮して。あっという間だった。
まだ興奮冷めやらないけど、他の友達の部活も見に行かないと。柊さんのいる陸上部は特に出し物はないみたいなので、また小春さんを引っ張って国語部の出し物を見に行ってみる。基本的には自作短歌集とか、部内で書いた小説集とかが売ってるみたい。気になるので1冊ずつ買ってみる。
ほかの学年の出し物も回ったりしてたら、あっという間に片づけの時間、17時。ここから1時間弱で片づけを終わらせないといけないので大変だ。教室はあまり片付けるものがないからクラスメイトに任せてて、私たち文化祭委員はステージのアンプとかマイクスタンドを音楽室に運んでいる。
「知花、すごいオタクみたく走り回ってたね」
「あはは、まぁね。こういうのって一度きりだから、全部楽しみたいって思っちゃうのかも。」
「じゃあ、今度は私に付き合ってね?」
何か嫉妬心的なのを感じたのか、少し無愛想に言う。
「もちろん」
とはいえ、何に付き合わされるんだろう...?それはちょっと気になるけど、聞くにはすでに疲れすぎちゃったので、無理だった。
そしてまた打ち上げがあって、さらに疲れるんだけど、それもまた別の話。
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