第9話 修学旅行準備と新たな気持ち
修学旅行の準備が今日から始まる。クラスはすでにその話題で持ちきりで、もちろん私たちも。
「グループ分けどうなるんだろうね」
「知ってる人と一緒だといいな。」
「でもグループ分けってくじ引きだからね~」
そう、グループ分けは完全ランダム。誰とグループになるかわからない。まぁそんなガチャはみんな大好きだからなおさら盛り上がってるってわけだ。
担任が来て、ついに運命の時間がやってくる。ありがちすぎるくじ箱に手を入れ、札を一枚。『仲のいい人と一緒のグループになりたい』『明るいグループに入りたい』それだけを祈って。
祈った結果としては、かなり残念に近い感じだ。独特の距離感な(いい意味で)小春さん、あまりたくさん話すタイプじゃないからキャラをつかめていない高月さん、そして全く話したことないおねむ少女こと会野さん。ど、どうしてこんなことに...
ちなみに柊さんと海野さんは同じグループ、星乃さんだけこの中だと一人グループみたい。まぁ明るい組な2人は大丈夫かな。
そんなわけでグループごとに分かれてグループワーク。ちなみに女子しかいないのはグループ分けが部屋分けも兼ねてたりするかららしい。今考えているのは京都での自由時間に何をするか。
「とりあえず定番どころから清水寺、伏見稲荷、金閣寺とか?」
「なにか軽いおやつみたいなのつまめると楽しいかも~?」
「少し早いけど北野天満宮とか」
そんなこんなで結構あっさりルートが決まってしまった。そんなわけで、自己紹介をする流れになった。
「小春 夕依です。趣味は読書、あとアコースティックギターです。よろしくお願いします。」
「高月 ともりです。趣味は読書。よろしく。」
「ん~、会野 ゆめだよ~。趣味というか好きなのは睡眠~、よろしくね~」
「日向 知花です。趣味って言える趣味はあまりないけど...、よ、よろしくお願いします!」
またちょっと後輩っぽくなった気がする。というか小春さんが大人っぽすぎる。アコースティックギターも弾けるってかっこいいなぁ。素敵。
「それにしても好きなのが睡眠って。」
「いやさ~、普段から疲れやすいというか。すーぐ眠くなっちゃんだよねぇ~」
「修学旅行ですっごい歩くけど...」
とりあえず、みんな和気あいあいとまではいかないけど、いい感じだ。
会野さんとも仲良くなれそう、かな?
楽しみな時間ってあっという間に過ぎるもので、気づいたらもう数日後には修学旅行だ。そんなわけで、準備中の夜。心は楽しさが大半だけど、ちょっと怖さや寂しさもある。いつもより少人数なのはうれしいけれど、一番仲がいい人がいないのは不安がある。ましてや前みたいに気分が落ち込んだ時、引っ張ってくれそうな人がいないってだけでだいぶ心持ちが違う。あまり人に頼りすぎるのもよくないとはわかっているんだけど...
いけないいけないって首を振って、楽しいほうの話題に目を向ける。新幹線も今まで乗ったことがないし、友達とお泊りも楽しみだし。そんなとき、ふとあまりだらしくない姿をあの子に見せたくないな、なんて思ってしまった。少し恥ずかしい。果たして修学旅行、本当に大丈夫なんだろう?
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