第8話 テストと夏休みの予定

 きつかった体育祭が終わると、息つく暇もなく定期テストの時期がやってくる。

 ただでさえ体育祭で疲れているのに、学生は大変だ。って私も学生じゃん。テストいやだよぉ~。

 もちろんこのままじゃいけないので、勉強会をすることになった。いつものメンバーと小春さん、計6人。大所帯だ。

 さすがにこの人数が誰かの家に入るのはつらそうなので、図書館にみんなで向かう。そばの図書館、勉強用の仕切りスペースがあって、ある程度声を出しても大丈夫な場所らしい。うるさくならないに越したことはないけど。

 みんなは何かしら特異な教科と苦手な教科があって、そのあたりを助け合ってるみたい。

「うぅ...」

「どうしたの?日向さん」

「どの教科も全然わからない...」

『えっ!?』

 みんなに驚かれてしまった。そんなに変なことかなぁ...。

 そしてどうやら私に勉強を叩き込む方向に変な団結力が生まれてるような...?

 こっそり小春さんが耳打ちする。

「もし補修になっちゃったら、みんなで夏休み遊べないね~」

 とか言って、もし犬だったら裏で尻尾をぶんぶんしていそうだ。それに、夏休みはまだひと月くらい先だし。でも補修は帰りが遅くなるから、やっぱり勉強しなきゃ。

 ちょっとだけやる気を取り戻し(新しく得て?)みんなによる勉強叩き込み会が始まった。


 お昼過ぎから勉強を始めて、早3時間。あっという間に夕方16時を過ぎた。わからないところばかり勉強してたから、もっと長く感じた。

「とりあえず、これで赤点回避はできそうかな?」

「むむむ...」

 正直自信は全くない。


 そして定期テスト当日。眠い目をこすって必死に問題を解く。別に寝不足ではないけど、問題を見ただけで眠気がするのはきっと私だけじゃないはずだ。

 毎時間、テストの前にみんなで暗記するものを読んで、テストをして、終わったらここどうだった?なんて話して。あっという間に4日経った。高校5年目(前世入れて)だけど、毎回定期テスト長いなぁって思ってる。

 毎日テストが終わっても家で通話しながらテスト勉強をするのが本当につらかった。


 無事、赤点は回避したけどとても見れた点数ではない。ほかの人は心配なさそうだ。よかった。自分が一番成績まずいのにね。

 ちなみに小春さんはあいかわらず1位。そこから2つくらい下に柊さん、高月さんがいる。みんな頭いいんだなぁ...。

 柊さんは会野さんに負けたあああああって絶叫してる。ちなみに会野さんっていうのは、よく寝てるタイプの子。つまり私みたいにずぼらな子だ。偏見だけど。


 ◇


 話は少し戻って、テスト4日目、最終日。テストの日は早く帰れるのがちょっとうれしい。といっても今日は早く帰ってのんびりする日ってわけでもなく、テストお疲れ様会だ。あれ、二週間くらい前に体育祭お疲れ様会やったばかりだよね???さすが女子高生って感じ。自分も女子高生なんだけど。って何回こんなこと言っているんだか。

 もちろん学生なので、近くのファストフードで。テスト疲れたね~とかお疲れ様会あるあるな話をした後、話はもうすぐな修学旅行と夏休みの話題に。

「いやーJK忙しいね、ほんと」

「なんかおっさんみたいだよー?」

「実際中身おっさんみたいなときあるけどね」

「こらーっ!」

 柊さんと星乃さんがちょっと痴話げんかっぽくなる。ファストフードで騒ぐのはまずいので適度になだめつつ、話を元に戻す。

「部屋分けどうなるんだろうね」

「みんなと同じ部屋だったら、いいな。」

「違うグループになったからって部屋の移動は多分禁止だからね。」

「そんなぁ~」

 修学旅行は京都とか奈良に行く3泊4日の旅。あまり遠出することがない私からしたら、ちょっと不安ではある。一人の時間があまりないだろうし。ましてやあまり知らない子とばかり同室になったら、気弱で死んでしまうかもしれない。前は柊さんが結構引っ張ってくれるタイプだったからよかったけど、どうなるかなぁ。

 修学旅行の話もあっという間に終わって、夏休みの話にいつの間にか移行している。

「ねぇ、夏休み海行こうよ!」

 海!?前世の記憶が残っている私にとっては絶対行ってはいけない禁域だと思っている。だからこそ、プールとかもなんやかんやで入らないようにしてきた。そのせいか友達も減った。また顔が曇る。だいぶ生きてきた時間は大人なはずなのに、こういう内面はまだまだ子供だ。

「どうしたの、知花っち?」

無理してちょっと笑顔を作って。

「いや、海とかプールって苦手でさ。」

「そっかー、じゃあ別のところにする?みんな」

 みんなに我慢させるわけにはいかない。

「いや、海には行って、泳がないとかでいいんじゃないかな。砂遊びとかはできるし。」

 何とか譲歩案をひねり出す。

「それもそうだね、じゃあ海にけってーい!」

「水着、買わなきゃ...」

 私のせいではあるけど、暗い雰囲気にならなくてよかったと胸をなでおろした。また柊さんの明るさに助けられてしまっている。

「でも、まだテストの結果出てないから、補修組が出たら困るね」

 小春さん!?

 そして数日ゆっくり眠ることもできなかった。

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