第2話 新学期と新しい友達

 時間はあっという間に経つもので、気づいたら高校2年生だ。

 今日は入学式。といっても新入生じゃないので、基本的にはクラス分けを見るだけの日と化している。


 ちなみに、ここ10年特別な何かがあったわけではなかったけど、特に前世の記憶が消えることはなかった。強いて何かあったとすれば、オタケンを何とかしてもう一度見にいったくらいだ。その結果、同じ日にが死んで、少ししたあと管理者不在で自然消滅したことを知った。偶然か?それにしてはできすぎているような。

 細かいことはわからなかったし、実際に今自分が生きているわけではないけれど、とてもつらいし悲しい。

 自分は転生した身だからこそ、知らないはずだったつらい現実に直面してしまった。


 そんないやなことから目を背けつつ、クラス分けを見てみると2年B組。昨年と同じクラスだ。メンバーは全然違うけど。

 特に仲のいいクラスメイトがいたわけでもないので、それだけ確認して教室に向かう。ちょっと寂しいけど、オタクの立ち位置なんていつもそんなもんだ。ましてや今は女子だし。

 そう思ってはいたのだけれど。

「お、おはつじゃ~ん、よろしく~」

 前のクラスメイトが話しかけてきた。

「私はひいらぎ つむぎ。あなたは?」

 ん、結構ぐいぐい来るな...。とはいえ、ちゃんと相手との距離や空気感を見てる。営業とかうまそうだ。なんて人事課サラリーマンみたいなことを考えつつ、

「私は日向 知花。よろしくね、柊さん」

 とりあえず適当にそれっぽい感じで返事をする。お嬢様言葉っていうの?こんな感じの言葉遣いは慣れない。過去に雑なしゃべり方ばっかりしてたからだろうか。もうあまり前世と生きた時間は変わらないのだけれど。


 とりあえず、それ以外に大したイベントは起こらなかった。担任のあいさつとか、スケジュールのプリントが配られたり、特に今までと変わらない景色。

 すべて終わってさて帰るか~と思ったら、柊さんとさらに数人から話しかけられた。話を聞く限り、柊さんとの繋がりらしい。いわゆる友達の友達、ってやつだ。

 名前から想像がつくようないかにも社交性の高そうなタイプの星乃ほしの あかりさん。

「よろしく~」

読書家で私と一番気が合いそうな海野うみの 杏奈あんなさん。

「よろしくね。」

海野さんの読書仲間な高月たかつき ともりさん。

「うん、よろしく。」

 なんで女子高生はこんなにも覚えるべきことが多いんだろうか。ニックネームとアイコンが欲しい。

 無難な世間話をして、そのまま話の流れで一緒に帰路につく。早く帰ってPCを触りたいと思うのは今までの人生のせいか。そして廊下に出た時、とても綺麗な子とすれ違った。

「あ、小春こはるさんだ。」

「同じクラスなの、ちょっとうれしいよね~」

 周りの3人は知っている様子だが、私は誰なのかわからない。のできょとんとした反応をするとあれ?知らないの?みたいな返事が返ってきた。

 小春こはる 夕依ゆいさん。どうやら、学年1の美少女として学校では人気で、クラス問わず何人からも告白されているなどの噂が立つ有名人らしい。しかも優等生。ちょっとむかつく。

 ちょっと頬を膨らませたら、柊さんに気付かれていじられてしまった。

 そういえば昨年はそんな嫉妬することもなかったのに。なんでだっけ。


 夜。一人静かにお風呂に浸かる。やっぱり、一人の時間は静かでいいものだ。

 仲のいい友達は、前世を合わせても両手で数えられるほどしかいない。だからこそ、やっぱり時には疲れる。...まだ出会って一日目だけど。

 それに素敵な人に嫉妬もして。

 今までとちょっと違うこの気持ちにちょっと頬が緩み、お風呂の鏡でそれに気づく。

 慌てて顔半分お風呂に沈めて、ブクブク~ってしてみた。

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