現実に舞い戻った俺と、夢に出てきた君
今日は月曜日、1週間の始まり。今日から久々の学校と考えると、鼓動が少しギアを上げていってる気がする。玄関先には何故か荷物と着替えが置いてあって、足は少し震えていた。まあ武者震いとやらだろう。
「珍しいね、ちーく、じゃ無かった愛信くんがこっちの教室来るの」
「そう言えばそうだ、なんなら初めてだったり?」
学校に着いてすぐ隣の隣のクラスに行く。ニシタニさん=叶音ちゃんなら多分このクラスに居るかなと思ったら案の定居た。
「確かに、でもどうして教室分かったの?」
「夢でなんか叶音ちゃんが出てきてさ、叶音ちゃんの名字がニシタニって言った事を夢の中の叶音ちゃんに聞いたんだよ、それで探してみたらって感じ」
夢の中にでてきた、なんて言ったら気持ち悪いだろうか。まあどう思われても構わなかったりする、いややっぱり気持ち悪がられるのは少しは嫌だ。出来れば叶音ちゃんにだけは好かれたい、という感情が少し芽生えている。
「夢の中、夢の中の私も現実みたいな事を言うんだね……確かに私は西谷叶音だし」
「合ってたんだ、良かった良かった?」
「うん、こうして愛信くんが探してくれたし良かった」
果たして俺が探して良かったのだろうか、こんな美少女を。もう少し主人公みたいな人間がこの美少女とラブコメをすべきでは?なんて思う。まあ俺の思いはまだ恋に発展しそうというだけで、まだラブコメでは無いとは思いたいけど。
「良かったのかな?こんな俺で」
「良かったんだよ、この間の騒動だって、噂によると私への噂を聞いてチョップしたんでしょ、私はそういう正義感の強い愛信くん、好きだけどな」
「好き?こんな人間を?あとあれ見てたのか」
「そりゃまあ。一応ドアの向こうから見てたからね、何事かとは思ったけど。大事に至って無くて良かった」
あれ見られてたのか、それでも態度が変わってないの本当に優しいな。まあ俺にそう見えてるだけかもしれないけども。
「まあなんとか大丈夫だったよ、さっき教室行ってもほとんど無反応だったし」
本当に何事も無かったかのように皆無反応だったのである。まあ見つかったら大事になるし俺はさらに暴れる可能性が無いわけでも無いからこれで良かったんだけど。
「それは良かった、あ、予鈴」
「ほんとだ、そろそろ戻らないと、それじゃ」
職員の朝礼の終了やら朝の自由時間やらの終了を告げるチャイムが縦横無尽に鳴り響く。一応五分あるけど早く帰るに越したことはない。
「待って愛信くん、近々」
何か言ってる気がしたのは気のせいかな。まあ聞き返す余力は俺には無かった。この事で嫌われても仕方ないな。
ちなみにこれを聴き逃したせいで、この週末に起こる出来事がかなりのサプライズになったという事だけ付け足しておく。
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