暴虐で憎悪に満ちた俺と、それをただじっと見つめる君
高校生の休み時間、こういう時は青春の1ページや2ページ描かれそうだななんて思いつつ今日も寝たふりをして盗み聞きをする。そういえば最近席替えをして陽キャ女子たちと席が近くになったんだっけ。
「いや〜今日も来てるね!西谷!」
「本当いつも見てて飽きないのかな?」
今日も来てるのか、ニシタニという人間は。ここ最近盗み聞きしてるとよくニシタニという名前をよく聞く。多分もう休みの日を外したら23日連続位でニシタニという名前を聞いてるんじゃないかってくらいには聞いてる。
「一体何を見にそんな毎日来てんだろ?」
「もしかして目当ての人が居たりして?」
目当ての人か、ニシタニっていうのは女子なのかな?何分今の所ニシタニに関する情報が教室で良くODとリスカをする位しか無いものだから、俺にとってニシタニというのは永遠の謎の人物である。
「でもさ、仮に自分が西谷のターゲットにされてたらどう思う?」
「えー絶対吐く。吐く自信ある。アイツ怖いし変な匂いするし」
怖い、か。小学校からかれこれ10年間この言葉と付き合ってきたけどやっぱり聞くに絶えないな。直接言われてない俺でさえ色々フラッシュバックしてくる。
「それになんかさ、あんなやつが生きてていいのかなって時々思ったりもするし……」
「わかる!なんか早く死にそうだよねあいつ」
「うんうん!」
「…………」
俺は立ち上がった。今はまだ俺が聞いてるだけだから良い、だがこれをニシタニが聞いたら?ニシタニがもし死んだら?名前しか知らなくとも、聞いた事あるだけでも、俺は目の前の悪魔達相手に暴行欲を発散したくなってきた。
「新田!?どうしたの立ち上がっ……」
「だっ……」
そして俺の手は女二人の顔に勢い良く落下していった。周りは唖然とした顔で、何も声を出さない。目の前の女2人を除いては。
「痛い……」
「……」
両方とも若干涙目を浮かべている様に見える。少し強くやり過ぎたか、まあ一旦自席に戻って荷物を纏める。
「頭が痛い、保健室行ってくる」
そう言って俺は保健室に向けて、また歩き出した。そういう内に3時間目のチャイムが鳴る。これで良いんだ。これで。
「ハッハッハッハッ!!ハーッハッハッハ!!」
廊下で大声で笑いながら、頭に生じた若干の痛さを持って俺は保健室へと向かった。
しかし何か視線を感じる。女の囲いか?先生か?まあそれはともあれ、これでニシタニっていう人への暴言が、まあ逆効果だけど減ったら良いなという理想はある。
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