強欲で通話厨な俺と、それに応えてくれる君
あの顔が忘れられない。ニシヤさんのあの可愛くてどこかで見た事のある様な、というか叶音ちゃんに瓜二つだったあの顔が。
『新田さん、ニシヤに何か粗相はありませんでしたか?』
あの顔を見て忘れられずに居た約10分後、西谷さんからこんなL○Eが送られてきた。
『はい!今日もいつも通りでしたよ!彼女耳かきまでしてくれて、とても心地良かったです!』
一応本心をただ書き連ねていったのだが。こんなL○Eでいいのだろうか、気持ち悪がられたりしないだろうか、と心配になってくる。
『それは良かったです!私もいつか新田さんに耳かきしたいものですね!』
『西谷さんもしてくれるんですか!ありがたいですね……気長に待ってます!』
『いえいえ……所でニシヤの耳かきのどんな所が心地良かったんですか?』
あー、そこ聞いてくるか。聞いちゃうか。気持ち悪い文言しか出て来ないけどいいのかと思い込んでくる。
『気持ち悪い言葉を並べますけど、それでもいいですかね?』
『はい、私は一向に構いませんよ』
『では…大きくわけて2つ、膝が柔らかいのと、可愛らしい声ですね』
『可愛らしい声……』
ここからはとりあえず俺の気持ち悪い様な品評もどき長文を送り付けたとだけ言っておく。まあそんなこんなで十数分ほどやり取りを繰り返している内にこんな返信が飛んできた。
『私もいつかお話してみたいですね、新田さんと……』
『じゃあ今通話します?』
『今……』
あ、ついこう送ってしまった、やはり俺は気持ち悪い人間だ。死んだ方が良いかな、こんな通話厨なんて。
『あ、是非』
また飛んできた、そして着信。勿論すぐ対応する。
「あ、ウエストキャニオンです……」
「あ、どうもニューライスフィールドです……声でははじめまして?ですかね?」
「はいっ……はじめまして……」
若干ニシヤさんや叶音ちゃんに似てる気がする声。やはり思った通り可愛い。
「声可愛いですね……惚れちゃいそうですよ……」
「いえいえそんな……ありがとうございます……」
「いえいえこちらこそ……通話して下さりありがとうございますね……」
感謝を忘れずに伝えないと、西谷さんと通話出来る事が奇跡みたいなものだから。
「ではまず何からお話しましょ……」
「そうですね……じゃあこんな話が……」
今はただ俺に付き合ってくれてる西谷さんとのこの奇跡のような時間を楽しもう。それだけで充分なのだから。なんて思いながら聞こえてくる天使の様な声は、やはりどこかで既視感があった。
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