空腹で死に絶えそうな俺と、ご飯をくれた君

死にそうだ。家の食料が尽きて早3日。今の所水を飲んで耐えてはいるが、もうそろそろ限界かもしれない。祖父からの仕送りで来た金も尽きて次の仕送りまで生きれそうには無い。バイトをする体力も無い。誰かに助けてもらおうか。そんな最後の望みをかけて○に救難信号を送った。


『食料が無い。ここで死ぬなら本望だけどもう少しマシな死に方が良かったな。』


誰か来るか?流石に来ないだろう。まあここで生涯を終えるのも悪くは無い。あ、誰か来た。


「こんにちはっ!ウー○ー○ーツですっ!」


ヘルメットの中から流れる天使のような声と共に。


「はぁ、はぁ、これ、食べてくださいっ……」


そうして出されたおにぎりは美味かった。味はただの塩むすび。でも美味かった。なんだろう、空腹だと美味しくなるのかな?それとも何か隠し味が?


「て貴方も暑そうじゃないですか!どうぞ中へ!」

「へ?いいんですか?」

「勿論!さあ入って!」

「じゃあ……お邪魔します……」


そう言って配達員を中へ入れる。彼(彼女?)も暑そうにしているし、あと何者なのかが知りたい。泥棒とかだったりしたら大変だ。運良くおにぎりを持っていて分けてくれただけでこれから何かするかもしれない。まあそういう死に方もありかな。


「で、貴方は何者?」

「通りすがりの……ウー○ー○ーツ……です……」

「本当は?」

「本当です……○の投稿見て飛んで来ました……」


○の人か、でも誰だ?まさか西谷さん?そんな訳は無いとは思うけど。第一彼女は前に親に実質幽閉されている状態と言っていた。


「あ……ウエストキャニオンの代理のニシヤと言います……今後ともお見知り置きを……」


代理、か。仲良い人が他にも居るのか。なんか少しショックではある。こういうメンヘラに近い思想も屑たる所以だ。腹切ろうかな。


「よろしければ夕食も……」

「あ、いいんですか?お願いしますね……」


腹切るのは夕食まで延期。一体何が振る舞われるんだろう。しかし夕食までどう時間潰そうかな?


「ちょっと買い出し付き合ってくれませんか?ニューライスフィールドさんだけ着いてきてくれればいいですから……」

「では遠慮なく……」


買い出しか、スーパー行くなんてひと月ぶりだから楽しみだ。それにしても西谷さん、こんな声の可愛い代理さんが居るとなると本人も可愛いのかな?案外美少女かもしれない。いつか会えるといいな。


そうして身支度をして鍵をかけ、約1キロ先にあるスーパーに向けて2人で歩き出した。

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