第425話 条件付き全知

 そんな事を思いながら歩いていたら、すぐに世界樹の根元まで着いた。楽しい時間は過ぎるのが早いなぁ。


「ラウネいる?」

『ハク姉いらっしゃいなの。その子は誰なの?』

「フェンリルだよ。こっちはラウネだよ」


 ラウネとフェンリルは、互いに頭を下げて挨拶をした。


「ラウネにお願いがあるんだけど、世界樹の根元に現れた泉に案内してくれない?」

『うんなの。でも、三つあるの』

「あれ? そうなの? まぁ、いいや。全部案内してくれる?」

『うんなの』


 三つあるとなると、どれを飲めば良いのか分からない。なので、取り敢えず、全部飲む事にした。そもそも何で泉の水を飲まないといけないのだろうか。そんな疑問を覚えつつ、ラウネに付いていく。すると、一つ目の泉に着いた。溜まっている量は、そこまで多くない。何なら、レインの泉の方が大きい。

 さすがに全部飲めとは言っていなかったと思うので、手で一杯掬って飲む。特に何も起こらない。


「次に行こう」

『うんなの』


 そうして次の泉に連れて行ってもらう。次の泉の水は、さっきよりも多く溜まっていた。それも一杯だけ掬って飲む。すると、急に【熾天使翼】が広がった。


「何だろう……でも、飲んでみて分かった。この泉には神聖な力があるね」

『世界樹にここの力が広がっているみたいなの』

「だよね。ここの水を出しているのも世界樹っぽいから、循環させている感じかな」

『レインが管理してくれるの。だから、大丈夫だとは思うの』

「なら、安心だね。それじゃあ、最後の泉に案内してくれる?」

『うんなの!』


 そうして最後の泉に着いた。この泉は二番目の泉と同じくらいの大きさだった。その泉の水を飲む。


「ん? んんっ……!?」


 突然視界が暗転した。身体から感覚がなくなり、暗闇の中に残される。気絶状態になっているのだ。多分、すぐにラウネが気付くし、フェンリルもいるからどこに移動はしてくれるはず。あっ、フェンリルのこと、アカリ達に伝えてなかった。浮かれすぎていたかな。まぁ、レインかラウネが説明してくれるか。いや、フェンリルは喋られるから、フェンリル自身が説明出来るか。この気絶状態と睡眠状態の時が、このゲームの一番退屈な時間だ。

 この時間でも唯一出来るスキル整理でもしておくかな。装備は弄れないけど、スキルの収得、進化、統合は出来る。それを利用して、装備スキルの切り替えをするみたいな事も出来るみたいだけど、下手すると装備が外れるだけになるので、あまりやる事はないかな。


────────────────────


ハク:【武芸千般Lv100】【二刀の極みLv100】【武闘術Lv100】【始祖の吸血鬼Lv100】【大地武装Lv100】【暴風武装Lv100】【氷結破砕Lv100】【黒腐侵蝕Lv100】【万能探知Lv100】【エネルギー吸収Lv31】【死神鎌Lv52】【魚群招来Lv25】【反転熱線Lv20】【鬼王Lv36】【黒鬼気Lv100】


控え:【聖剣Lv6】【鋏Lv100】【三叉槍Lv100】【金砕棒Lv5】【魔力弓Lv6】【矢生成Lv6】【鋼鉄牙Lv6】【鋼鉄爪Lv6】【氷結爪Lv100】【竜爪Lv100】【岩竜爪Lv100】【剛爪Lv100】【棘拳Lv100】【武闘気Lv100】【爆熱闘気Lv100】【硬化闘気Lv1】【敏捷闘気Lv100】【銃Lv100】【突撃銃Lv93】【散弾銃Lv85】【狙撃銃Lv6】【機関銃Lv6】【大砲Lv8】【電磁加速砲Lv6】

【魔導神Lv6】【溶岩魔法才能Lv5】【天候魔法才能Lv14】【大地魔法才能Lv15】【暴風魔法才能Lv13】【雷霆魔法才能Lv14】【闇魔法才能Lv58】【付加呪加才能Lv18】【状態異常才能Lv15】【死霊術Lv48】【死霊誘引Lv37】

【支配(火)Lv100】【無限火Lv100】【根源(水)】【完全支配(水)Lv21】【根源(風)】【根源(雷)】【支配(雷)Lv43】【無限雷Lv56】【支配(光)Lv27】【無限光Lv38】【支配(闇)Lv26】【無限闇Lv36】【吸血鋭牙Lv100】【根源(血)】【完全支配(血)Lv100】【根源(影)】【完全支配(影)Lv31】【植物操作Lv25】【支配(毒)Lv32】【無限毒Lv53】【操縛糸Lv95】【重力操作Lv100】【眷属創造Lv100】【物体操作Lv48】

【HPMP超強化Lv100】【物理超強化Lv100】【器用さ強化Lv100】【運強化Lv100】【神体能力強化Lv100】【五感超強化Lv100】【頑強顎門Lv100】【反発弾性強化Lv100】【骨格強化Lv100】【機動性強化Lv100】【ベクトル制御Lv27】【鷹の目Lv61】【神力(封)】

【毒耐性Lv100】【麻痺耐性Lv90】【呪い耐性Lv60】【沈黙耐性Lv100】【暗闇耐性Lv43】【怒り耐性Lv16】【眠り耐性Lv38】【混乱耐性Lv100】【魅了耐性Lv100】【出血耐性Lv6】【気絶耐性Lv38】

【夜霧の執行者Lv100】【雨隠れLv56】【明暗順応Lv100】【金剛不壊Lv23】【韋駄天走Lv100】【悪路走行Lv100】【天翔Lv38】【暴飲暴食Lv100】【悪食Lv100】【飢餓Lv36】【貯蔵Lv100】【心眼開放Lv100】【精神統一Lv100】【適応Lv100】【熔解Lv8】【溶岩遊泳Lv12】

【神炎Lv100】【氷炎Lv100】【土水息吹Lv100】【氷雷息吹Lv100】【岩炎息吹Lv100】【岩風息吹Lv100】【炎牙Lv100】【噴火Lv100】【熱血Lv100】【氷牙Lv100】【氷霧Lv5】【冷血Lv100】【風纏Lv1】【雷化Lv66】【狂戦士化Lv70】【激昂Lv8】【繭Lv35】【強靭絹糸Lv100】【魔力糸Lv100】【ドラミングLv24】【虫翅Lv8】【比翼Lv12】【鋼鉄翼Lv47】【魔力翼Lv100】【炎翼Lv100】【水氷翼Lv5】【浮遊Lv100】【粘体Lv100】【断熱体Lv100】【模倣Lv44】【幻影Lv100】【超再生Lv51】【超反応Lv100】【解錠Lv39】【暗闇の魔眼Lv100】【混乱の魔眼Lv100】【宝石創造Lv87】【鉱石創造Lv90】【水晶創造Lv86】【竜紋Lv56】【混沌Lv100】【悪夢Lv100】【絶望Lv100】【堕落Lv5】【断罪Lv5】

【竜王核Lv31】【竜王咆哮Lv28】【竜王息吹Lv100】【炎竜王息吹Lv12】【水竜王息吹Lv13】【竜王血Lv100】【竜王鎧Lv70】【炎竜鎧Lv54】【水神竜Lv100】【岩竜鎧Lv100】【竜王翼Lv31】【精霊体Lv100】【魔王Lv100】【色欲悪魔Lv100】【色欲の大罪Lv100】【嫉妬悪魔Lv100】【嫉妬の大罪Lv100】【悪魔王翼Lv71】【聖王Lv100】【熾天使Lv100】【熾天使翼Lv100】【魔聖融合Lv100】【属性結合Lv100】

【機織りLv36】【糸紡ぎLv37】

【水中戦闘術Lv71】【掘削Lv23】【竜騎Lv92】【農業Lv70】【テイマーLv100】【神族に愛されし者Lv25】【統帥Lv100】【総合言語学Lv26】【プリセット】【巨狼の怪物との契約】【海神のお守り】【炉の神の祝福】【伊邪那美の祝福】【木花咲弥姫の祝福】【北欧主神の祝福】

SP:245


────────────────────


【硬化闘気】:闘気を全身に張り巡らせて、防御力を上昇させる。


────────────────────


何か【硬化闘気】が収得出来るようになったから、一応取っておいた。それ以外は、取り敢えず、そのままにしておく。まだレベルを上げられるスキルも多いからだ。結局、特にこれといった事も出来ず、十分くらい経った。

 それだけ経ってようやく意識が戻った。戻った時に最初に見えたのは、アカリの顔だった。ついでに、自室の天井が見えるから、ちゃんと運んでくれたらしい。目を覚ましたのと同時に、軽い頭痛の残りみたいなのを感じた。


「痛つつ……」

「大丈夫?」

「大丈夫。へ?」


 頭痛はすぐに引いたけど、その直後にウィンドウが出てきた。


『知恵の泉を飲んだことにより、北欧主神オーディンとの経路を確立しました。スキル【北欧主神の全知】を収得します』


 オーディンさんが泉の水を飲めと言ったのは、これを得させるためだったのかな。


────────────────────


【北欧主神の全知】:北欧主神オーディンとの念話を可能とする。また、使いのフギンとムニンの目印となる。控えでも効果を発揮する。


────────────────────


 オーディンさんと念話するためだけのスキルみたい。使いのフギンとムニンというのもよく分からないので、結局よく分からないスキルを手に入れたって感じだ。


『ふむ。本当にミーミルの泉と同種のものだったか』

「うわっ!? びっくりした!」

「へ!? な、何が?」


 急にオーディンさんの声が頭に響いてきて驚いたら、その反応でアカリも驚いていた。取り敢えず、アカリには手振りでちょっと待つように伝える。


『頭の中で話せば、こちらに聞こえる』

『こ、こんな感じですか?』

『そうだ。基本的に、こちらから繋げる事は少ないだろう。念話で伝えるのが難しければ、ムニンとフギンを送る。貴様に危険が訪れたならば、こちらで援護もしてやろう』

『その代わり、フェンリルの制御をしっかりとしろって事ですよね?』

『その通りだ。何か訊きたい事があれば、頭の中で念じろ』


 オーディンさんが言うと、ブツッという音がした。多分、電話と同じで念話が切れた音なのだと思う。

 態々こんな事をした理由が分かった。フェンリルが何かをした時に、即座に警告するためだ。その代わりに、オーディンさんの知識が使えるというのは大きいのかな。


「新しいスキルで、神様と念話で繋がれる事になった」

「えぇ……そのスキルを得る仮定で気絶しちゃったの?」

「みたいだね。知恵の泉を飲んだかららしいよ。オーディンって神様」

「北欧神話の主神だったっけ? 全知の神様だった気がする。あっ、だから、知恵の泉なんだね。というか、どんな繋がりがあれば、主神と友達になるの?」

「ふっふっふ。私がフェンリルの封印を解いたからだね! 念願のもふもふだよ!」

「うん。ラウネちゃんと一緒にハクちゃんを背負ってきたよ。ご丁寧に挨拶してくれたし、部屋の前で待ってるよ」

「そうなの? フェンリル」


 私が呼び掛けると、部屋の扉が開いて、フェンリルが入ってきた。


「……えっ? どうやって開けたの?」

『前脚で開けられたが、別の方法が良かっただろうか』

「ううん。器用なんだね」

『大分鈍っているがな。それよりも大丈夫なのか。急に倒れたが』

「うん。オーディンさんと念話で繋がったってだけ」

『そうか。やはり迷惑を掛けたな』

「ううん。気にしないで。それよりも! まずはブラッシングだよ! いや、その前にお風呂に入ろう! 身体を洗ってさっぱりすれば、もっと良い毛並みになるはず!」

『あ、ああ……』

「ハクちゃん、これを装備してね」


 私が大興奮でフェンリルの頭を撫でていると、アカリが何かをくれた。それは、ワンピースタイプの水着だった。露出が極端に抑えられるようになっている。フェンリルはオスみたいだから、こっちの水着を着ろって事かな。

 私としては、フェンリルを男としてではなく、もふもふとして見ているので、特に気にしていなかったけど、アカリは気にするみたい。そこは気を付けないといけないかな。

 フェンリルを連れてお風呂に行き、アカリがくれた水着に着替えて、フェンリルを洗っていく。身体を小さくしてくれているので、こっちも洗いやすい。


「これでよし! わぷっ!?」


 フェンリルが身体を震わせて水を弾いてくるので、私の方がびっしょりになった。


『むっ、すまん』

「ううん。水気は大分取れたけど、乾燥はしないか。温風を出して乾かすね」


 右手に【神炎】を出して、左手から風を出して温風に変える。これで、ドライヤーみたいな感じになるはず。


「熱くない?」

『ああ。そもそも我も炎を出す事が出来るからな。このくらいの熱さは問題ない』

「そうなんだ。炎を無効化出来る?」

『さすがに無理だ。ほぼ効かないと思えば良い』

「そっか。火炙りにしなくて良かったよ」

『貴様は、時折恐ろしい思考をするな』

「そうかな? よし! 乾いた! ど~ん!」


 乾いてふわふわになったフェンリルに飛びつく。やっぱり、私の見立て通り。しっかりと手入れをすれば、玉藻ちゃんを越える毛並みを手に入れられる。後は丁寧にブラッシングするだけだ。


『……やはり変わっているな』


 その呟きが何を指しているのか分からないけど、そこを追及するよりも、このもふもふを堪能する方が遙かに重要なので何も言わなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る