第377話 妖怪道中エリアのボス
エレクの進化のおかげで、妖怪道中エリアのマッピングはかなり早く終わらせる事が出来た。それに、エアリーとライの進化も凄まじい。
特にエアリーの【圧力操作】がエグい。普段も風を圧縮とかは出来ていたけど、それをかなり強化したような感じだ。一瞬でモンスターが潰れていた。ただ、範囲によって圧力を操作できる速度が変わるらしい。一体ずつ的確に狙えば早いけど、一気に広範囲を潰すのは時間が掛かっていた。
そして、ライの雷も変わっていた。一撃一撃が致命となる威力を持っていた。何よりも凄いのは、広範囲攻撃が強化されたこと。降り注ぐ落雷の数が増え、規模も大きくなっていた。分岐放電だったり、側撃雷だったりで、一気に複数体を倒している事もある。さらに、地面に落ちた雷が地面を這い、近くにいるモンスター達に吸い込まれるように伸びていた。伸びれば伸びる程威力は落ちるみたいだけど、元々の威力が威力なので、大ダメージになるのは変わらない。
皆が進化する度に、私のやることがどんどんと無くなっていく。有り難いと言えば、有り難いけど、私の腕が鈍っていく事に繋がるから、師匠や師範、セラフさんのところでしっかりと修行しないといけないかな。
そんな感じで妖怪道中エリアのボスエリアに着いた。風神、雷神という強敵を倒した後ではあるけど、ボス戦もしておかないと、この先の妖都エリアに行けないから、ボスに挑む事にした。エレクは、ここでギルドエリアに帰して、ソイルを喚ぶ。火や水対策にフラムやレインを喚ぶ選択肢もあったけど、どっちも私には効果がないので、土のソイルを優先した。
喚び出されたソイルは、エアリーとライの姿を見て驚いていた。特に、自分よりも背が高くなったエアリーには、本当に驚いていた。レインも胸が大きくなっていたし、個体差があるのは間違いない。ライは、自分よりも小さかったからか、頭を撫でていた。お姉さんっぽく振る舞いたい年頃なのかな。
皆と一緒にボスエリアに転移したら、奥の方に大きな鬼がいた。二十メートルとかそのくらいありそうだ。背も高ければお腹も大きい。偉い鬼って感じがする。名前は大嶽丸というらしい。
大嶽丸は、こっちを見るとにやりと笑った。氷で剣を作ると、こっちに向かって投げてくる。氷だから、私が正面から受け止めても良かったのだけど、その前にエアリーがかき氷に変えた。
それに苛ついたような顔をして、大嶽丸が次々に氷の武器を投げてくる。その全てをエアリーが砕いていく。その間に、ライが極太の雷を落として、ソイルが地面を陥没させる事で大嶽丸の身体を半分まで地面に埋める。普通のモンスターだったら、何十体も一気に葬れる攻撃だけど、大嶽丸は普通に耐えていた。
『拘束しか……出来ないよ……潰せない……』
ソイルが地面で押し潰そうとしても効果がないらしい。あの巨体だけあって、密度も凄まじいとかなのかな。ただ拘束は出来ているので、ライが続けて雷を落としている。
そんな中で、大嶽丸は手を大きく上に掲げた。その直後、空から火の雨が降ってくる。その火の雨は、エアリーが真空を作り出して防いでいた。
『お姉様。私達は、私達で持ち堪えられます。お姉様は、吸血をしに行っても構いませんよ』
「そう? まぁ、そうだよね。危なかったら、すぐに言ってね」
皆進化しているので、そんじょそこらの相手では危険な事にはならない。さっきの風神と雷神の時に、ちょっと危なかったから、警戒しちゃったけど、さっきまでとはエアリーもライも違う。
【熾天使翼】を使って、大嶽丸に向かって飛んでいく。すると、大嶽丸が、大量の雷を落としてきた。その全てが一箇所に束ねられて、明後日の方向に飛んでいった。ライが防いでくれたみたい。
地面に腰まで埋まっているとはいえ、腕の方は自由なままだ。こっちも警戒しないといけないと思っていたら、地面が盛り上がって、どんどんと大嶽丸を拘束していく。ソイルが本気を出してくれているみたい。それでも、大嶽丸の攻撃は止まらない。火の雨や氷の剣、暴風や落雷などの攻撃がくるけど、その全てを皆が防いでくれている。
その間に大嶽丸に噛み付いて吸血を始める。ただ、この吸血でもダメージが少なかった。HPの総量が多いらしい。なので、黒百合を使って何度も滅多刺しにし、ダメージを増やしていった。何度か土の拘束から抜けそうになったけど、その度にソイルが引きずり込んでいったので、問題は無かった。
何だかんだで、大嶽丸を倒すのに五分以上掛かった。そうして手に入れたスキルは【溶岩魔法才能】だったので、ちょっと複雑な気持ちだった。上位属性の魔法はレベルが上がりにくいし。まぁ、貰えるだけでも有り難いと思っておこう。
皆がいてくれると、ここまでの巨体でも普通に戦える事が分かった。普通に戦ったら、かなり面倒くさい強敵だろうけどね。攻撃方法が多種多様だったし。まぁ、あの氷攻撃と火の雨に関しては、私には効果がないのだけどね。もしかしたら、私達が見られなかっただけで、他の攻撃方法もあるのかもしれないけど。
ひとまず、妖都エリアの様子を見てからログアウトする事にする。時間的にも良い感じの時間になっているから。
妖都エリアに転移すると、そこは最初から街だった。
「へぇ~……街を攻略していく……訳では無さそう」
街の中に住人らしい妖怪達が見えるけど、その【万能探知】は一切反応しない。つまり、今見えている妖怪達はモンスターじゃないという事だ。妖都エリアは、戦闘のないエリアって感じなのかな。
転移出来るようにだけするつもりだったけど、最初から街ならここに転移出来るようにした方が良いに決まっている。だから、妖都を歩いていく事にした。街中という事もあり、エアリー達はギルドエリアに帰している。大通りを歩いていると、住人達の顔などがよく見える。二足歩行の猫だったり、のっぺらぼうだったり、鴉っぽい顔だったり、色々といるけど、普通の人は一人もいない。やっぱり妖怪の街って感じだ。妖怪道中エリアは、この妖都に行くための街道とかだったのかな。ここに来ようとしていた妖怪達を倒していたのかと思うと、申し訳ないという気持ちが生まれてきたが、そもそも向こうから襲い掛かってきていた事を思い出し、その気持ちも消え去った。
出店とかで売っているものも妖怪が作りましたみたいなゲテモノの見た目をしているものばかりだった。目玉のスープとかって誰が食べるのだろうか。血を飲んでいる私が言えた事じゃないかもしれないけど。
そのまま妖都の中央っぽい場所に来ると、ようやく転移出来るようになった。もう少し色々と見て回りたいという気持ちを抑えながら、ギルドエリアに戻ってログアウトした。夕飯に遅れたら、お母さんに怒られるし、仕方ない。
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