第250話 新しい戦い方の模索
荒れ地の探索を進めていくと、色々と発見があった。草が少ないだけで、普通に草が生えている場所もあるし、水が流れている場所もある。でも、土が剥き出しで乾燥している場所の方が遙かに多い。ここでは、ソイルが活躍しそうだ。
戦い方の模索の方も続いた。【大地武装】【射出】【超圧縮】に加えて、【回転】を組み合わせる。操作で回転を加えて、【回転】の効果を武器に合わせる。銃弾のライフリングみたいな螺旋の動きから、回転斬りのような動きまで色々と試していった。割と良い感じで攻撃力を上げる事が出来た。
さらに、【猛毒生成】を組み合わせて、剣に毒を塗って攻撃するという方法も使ったけど、モウドクトカゲ相手ではよく分からなかった。モウドクトカゲに毒攻撃は効かないらしい。
でも、新しく出て来たドリルモグラには効いた。手を前で合わせてくるくる回転しながら突撃してくるモンスターで、ちょっと厄介だったけど、直進でしか出来ないみたいで横に大きく避ければ問題はなかった。
もう一体ロックゴーレムってモンスターも出て来た。腕力が凄く高いモンスターで、地面が割れる程の威力だったけど、動きは遅いから簡単に倒せた。ロックゴーレムの血を飲もうとしたら、岩が喉に入ってくるという苦痛を味わう事になった。【暴飲暴食】のおかげで、問題なく飲めるのが幸いだった。
そして、【麻痺牙】【沈黙牙】【呪牙】【失明牙】【猛毒血】【猛毒鎧】【剛爪】【掘削】【加重闘法】のスキルを手に入れた。
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【麻痺牙】:噛み付いた相手を麻痺状態に出来る。
【沈黙牙】:噛み付いた相手を沈黙状態に出来る。
【呪牙】:噛み付いた相手を呪い状態に出来る。
【失明牙】:噛み付いた相手を暗闇状態に出来る。
【猛毒血】:身体に流れる血に猛毒が混じる。控えでも効果を発揮する。
【猛毒鎧】:身体に猛毒を纏う事が出来る。
【剛爪】:魔力で出来た硬い爪を作りだす事が出来る。
【掘削】:固い地面でも掘り進める事が出来るようになる。
【加重闘法】:攻撃の際に、任意のタイミングで装備を含めた自身の体重を全て乗せられる。
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何かモウドクトカゲから、状態異常系牙が複数獲れた。あの口の中は、かなりヤバそう。
新しく手に入れたスキルから、さらに新しい戦い方があるかと考えたけど、正直私の体重と装備では、【加重闘法】は期待出来る程の効力を持たないだろうし、牙系は、複数付けたら、色々と外さないといけないから難しい。【掘削】は、戦いに利用するのは難しいから、実際に使えそうなのは【剛爪】とか【猛毒鎧】とかになるかな。まぁ、控えで使えないから、基本的には利用出来ないけど。
後は、【珊瑚砲】を【射出】で撃ち出したり、【魔氷結】と【黒蝕】で動きを止めた相手のHPと防御力を削ったり出来た。【黒蝕】の力が、触れた相手のHPと防御力を削るというものだった。恐らく、触れたものが武具なら武具の耐久値を減らせると思う。意外と使い勝手は良い。
【竜王息吹】【蒼炎息吹】【氷炎息吹】【氷雷息吹】の組み合わせで吐いたブレスは、えげつなかった。凍りながら燃えているという矛盾した状態で固まったからだ。強いけど、若干使いにくい。
結局、今まで通りのやり方が一番楽に倒せる事が分かった。でも、最初に考えた【大地武装】のコンボは使えるので、適宜使って行こうかなと思っている。
「ふぅ……それにしても、荒れ地エリアには、街がないのかな?」
大分、マッピングが出来ているけど、街は影も形もなかった。まだ三分の一くらいだから、見つかっていない可能性の方が高いけど。
蝙蝠達も生きているし、犬も生きている。ただ、大蝙蝠だけはやられた。強化をして作り出さないと大蝙蝠は普通に負けるみたいだ。
「まぁ、どうせ【吸血】と同じ効果しか持たないから、出さなくても良いか。【吸血】の確率は酷いの一言だったし」
大蝙蝠に関しては、しばらく出さないで良いという判断に至った。【吸血】と同じ効果なら、あってもなくても同じだからだ。
「さてと、時間はあるし、もっと調べて行こっと」
装備スキルを元に戻して駆け出す。荒れ地を隈無く調べるために、崖などは【走壁】で走ったりして、レベル上げをしながら調べる事にした。
壁を走っていると、壁の中からモンスターを察知する。形と状況的にドリルモグラだ。ドリルモグラは、回転しながら私に向かって突っ込んでくる。私は、壁から真横に飛ぶ。飛びだしてきた三メートルくらいの大きさをしたドリルモグラを隠密双刀で斬る。ここで一撃を加えた後、思いっきり蹴って壁の中から出す。吹っ飛んでいって、地面を転がるドリルモグラに空を飛んで、真上から刀にした隠密双刀を突き刺してから、横に振り抜く。その後、思いっきり踵を叩きつける。ドリルモグラの身体が地面にめり込む。
そこに【大地武装】と【超圧縮】で作り上げた石の剣を突き刺していく。やっぱり、こっちの方の攻撃力は期待出来ない。だから、石の剣に【影武装】で影を纏わせる。出来るか心配だったけど、一応武器判定はしてくれるみたいだ。ドリルモグラの皮が削れていく。鬱陶しいと思ったのか、ドリルモグラは地面の中に潜ろうとし始めた。
「させるわけないでしょ。【踏鳴】」
思いっきりドリルモグラの背中を踏みつける。ドリルモグラの身体が、さらにめり込み、気絶状態になった。その隙を見逃さず、刀二本で滅多斬りにして倒した。
「剣の数を増やしてダメージを稼ぐ感じが良いかな」
【大地武装】で岩の剣を複数作って、【超圧縮】で密度を上げる。さらに、血液を垂れ流しにして、同じように剣を形作る。周囲の探索をしながら、それを繰り返して、剣の数を増やしていった。すると、二十本くらいになったところで、岩の剣が古いものから崩れていった。血液の方は、二十本以上になっても問題なく増やせる。支配と武装の違いかな。
ただ、これを維持するのが難しい事も分かった。戦闘中に咄嗟にやるとかなら、普通に出来るのだけど、常に意識し続けるのは難しい。
「戦闘中に作る方が良いかな。注意散漫になって、探索で見つけられるものが減るかもだし」
丁度モウドクトカゲが二体向かってくるので、そっちに向かって飛ばす。一部の剣を【射出】で撃ち出すことで、モウドクトカゲを一瞬怯ませる。そこに【電光石火】で近づいて、刀二本で首を斬る。クリティカルダメージを与えつつ。モウドクトカゲの攻撃を受けないように横に回りながら、身体を斬りつけていく。
そこにもう一体のモウドクトカゲが仲間の身体の上を上ってきて、噛み付くために飛び掛かってきた。私は、血液で棒を作り、押さえ棒として口に挟む。これで一瞬だけ噛み付きが遅れる。その間に【雷脚】を発動して、後方に下がる。距離を取ったところで、石と血で剣を作って飛ばしていく。散発的に飛ばすわけじゃなく、作り出す度に飛ばすので、無限に飛んでいっている感じだ。モウドクトカゲ達は、その剣を無視して突っ込んでくる。
ほんの少しずつダメージを稼いでいく。その間に、刀二本に【暴風武装】と【雷電武装】【影武装】を纏わせて、剣と一緒に風の刃を飛ばす。モウドクトカゲが麻痺状態になる。
麻痺状態になった二体を毒にならないように斬っていって倒した。
「ここに【暴風武装】で作る風の刃の弾幕を混ぜる……いや、私自身が、戦いにくくなるかな。取捨選択は、しっかりしていこう」
戦い方の模索を続けながら、荒れ地の探索を進めていった。
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