第135話 大型アップデート

 翌日。朝起きた私は、パソコンを立ち上げて、ワンオンのホームページからアップデート情報を調べる。書かれている情報は、新スキルの追加、一部スキルの調整、一部アイテムの調整、新素材の追加、生産系スキルのレシピ追加、生産系スキルの自由度向上、一部攻撃と防御における調整、既存エリアに新しい街の追加、クエストの追加、ストーリークエストの実装、エンカウントボスの追加、新エリアの追加、ダンジョンの追加とモンスターの追加、NPCに高度なAIを搭載、細かい調整だった。


『新スキルの追加

・全てのランクにおいて、新規スキルを追加』


『一部スキルの調整

・ステータス上昇系スキルの効果上昇

・武器スキルの補正値上昇

・一部スキルを控えでも効果を発揮するように調整

・スキルの進化条件の調整

・スキルの統合条件の調整

・スキルの派生条件の調整

・一部スキルのデメリットの調整』


『一部アイテムの調整

・回復薬に属性要素を追加

・一部アイテムに追加作用

・一部アイテムに属性要素を追加

・一部素材アイテムの採取量の増加』


『新素材の追加

・【錬金】【合成】などで作れる素材の追加

・採取で取れる素材の追加』


『生産系スキルのレシピ追加

・【鍛冶】【裁縫】【彫金】【調合】などにおけるレシピ追加』


『生産系スキルの自由度向上

・全ての生産系スキルにおいて、生産の幅が広がる

・失敗作判定が狭まる

・ただし、使い物になるかどうかは作り方次第』


『一部攻撃と防御における調整

・防御にパリィ要素を追加。あるタイミングで、パリィをすると、ノーダメージで防御が可能になる

・パリィは、重量差を考慮しない

・パリィをされたモンスターは、極短時間行動不能になる

・プレイヤーの攻撃に対しては、行動不能以外判定される』


『既存エリアに新しい街の追加

・熱帯エリアにツリータウンの追加

・豪雨エリアに魔法都市の追加』


『クエストの追加

・NPCから直接受けるクエストの追加

・隠しクエストの追加』


『ストーリークエストの実装

・ストーリー仕立てのクエストが追加

・長くなればなるほど、報酬が良くなる』


『エンカウントボスの追加

・全てのエリアを渡り歩くエンカウントボスの追加

・特定エリアのみを渡り歩くエンカウントボスの追加』


『新エリアの追加

・北方面に雪嶺エリアの追加

・西方面に山脈エリアの追加

・南方面に砂漠エリアの追加』


『ダンジョンの追加とモンスターの追加

・既存エリアにダンジョンを追加

・さらに、ダンジョンに新規モンスターの追加』


『NPCに高度なAI搭載

・NPCに開発途中のAIを試験的に搭載

・NPCの挙動が変化』


『細かい調整

・ステータスのパラメーター調整

・モンスターのパラメーター調整』


 細かい事までは書かれていないけど、色々な更新が入るみたいだ。


「情報が多すぎ……色々と考えるのは面倒くさいなぁ。いつも通り、行き当たりばったりで行こっと」


 一応確認を済ませて、私はワンオンにログインする。そして、まず初めに、収得出来るスキルを調べる。スキルが追加されたという事で、私が条件を満たしていて収得出来るものが増えている可能性があるからだ。


「う~ん……【念動】【調教】【鑑定】【疾走】か……【念動】は使えそうだけど、【操影】とかもあるしいいかな。【疾走】は取ろう」


────────────────────────


【疾走】:走る速度が上がる。控えでも発動する。


────────────────────────


 【疾走】は、控えでも発動してくれるらしい。そういえば、他にも控えで発動するものが増えたはず。そっちも一応調べておこう。

 そうして、自分のスキルから控えでも発動するものを調べる。その結果、【剛力】【豪腕】【豪脚】【駿足】【執行者】【擬態】が当てはまった。


「一気に五個も外せる。その分、構成を考えないといけなくなったけど。出来れば、【夜霧】が控えでも発動してくれると嬉しかったけど、任意発動だし、さすがに無理か」


 自分にどのくらい関係あるかなって思っていたけど、この控えでも発動するスキルに関しては、大きく関係していた。これで、スキルの圧迫から解放はされるかもしれない。まぁ、すぐにまた悩む事になるだろうけど。


「さてと、街を巡るか……ん?」


 街の場所を調べるためにマップを確認しようとしたら、クエスト欄にNEWという文字が出ていた。気になるので、クエスト欄を見てみると、進行中のクエストのところに三つのクエストが表示されていた。


『『隠された闇と財宝』

・ファーストタウン地下道にて、本と資料を回収』


『『されど黄金は地下に眠る』

・オアシスにてコインの発見』


『『物語は天下の回りもの』

・複数の短編物語を手に入れる』


 表示されているのは、これだけだった。因みに、全部ストーリークエストだ。どうやって進行していくかが書かれているわけではなく、現状、どこまで進行しているかが書かれているだけだった。


「手掛かりも何もかも自分で調べて進めろって事かな。結構鬼かも。取り敢えず、『隠された闇と財宝』は、ファーストタウン地下道で見つけた概論とかと資料からで、『されど黄金は地下に眠る』は、王家のコインで、『物語は天下の回りもの』は、あの紙かな?」


 知らず知らずの内に、ストーリークエストのフラグを建てていたみたい。実装前に手に入れていたけど、サービス開始当時から仕込んでいたのかな。

 私は、フレンド欄からフレ姉に通話を掛ける。


『どうした?』

「あっ、フレ姉? あのね。ちょっと訊きたい事があるんだけど、アップデートしてから、急に進行中のクエストが増えてたりしてない?」


 フレ姉に訊いた理由は、私やアク姉、アカリの中で、フレ姉が一番進んでいて、色々なフラグを建てている可能性が高いからだった。


『ちょっと待て。ねぇな。それを訊くって事は、ハクは出てんだな?』

「うん。三つもあるの。だから、他の人も同じようになってるかなって思ったんだけど」

『少し待て。ゲルダ、全員に新しく進行中のクエストが増えてねぇか確認してくれ』


 近くにゲルダさんもいるみたい。態々他のギルドメンバーにも確認してくれるのは嬉しいけど、申し訳なくもある。


『おう。サンキュー。何人か増えているやつがいた。どこかしらでフラグを踏んでいれば、進行中になるみてぇだな。ハクのは、ストーリークエストか?』

「うん」

『物から始まっているか?』

「多分」

『こっちもだ。事前に踏むって言っても、特定の物を手に入れる事だけみてぇだな。まさか、アプデ前から仕込んでいるとは思わなかったが』

「ね。教えてくれてありがとう」

『気にすんな。それじゃあな』


 ここでフレ姉との通話が切れる。私以外にも同じようにストーリークエストが増えている人がいたって事は、色々と運営が仕込んでいたと考えられる。


「まぁ、どうせ分かる事もないし、新しい街の探索からしようかな。訪れておけば、いつでも転移出来るようになるし」


 装備の慣らしは、また今度に回して、今日は新しい街の探索をする事にした。一応、イベントまで後二週間あるし、今日くらい探索に時間を割いても良いと思う。夜にログインして、レベル上げしても良いしね。

 まずは、熱帯エリアのツリータウンへと向かっていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る