番外編:休日の過ごし方
学校も勉強もなく呼び出しや誰と会う約束もお茶会もない、本当に何もない休日。
どうしたものかと考えるもここは二度寝しかないだろうとベッドから起き上がることもせず目を閉じた。
「ルカお嬢様、いつまでそうやって寝てらっしゃるんですか」
呼び声に落ちていた意識が浮上するもどれくらい経ったのかと時計に目をやれば二度寝を始めてからまだ10分程度しか経っていない。
なんとも残念な感じでカーリカに視線をやる。
ただし起き上がることはしない。
「今日、何もないのよね?」
「ご予定ですか?特にはないと思いますよ…って何また寝始めてるんですか」
カーリカの言葉の途中で寝返りを打って背を向け目を閉じたところでカーリカに上掛けを剥ぎ取られた。
それでも私は起き上がらない。別に寒くもないので布団がなくても困らないが、はしたなくはあるだろう。
「朝食のお時間ですよ。早くお着替えをなさらないと」
「いらないからこのまま寝かせてちょうだい」
そう言った途端カーリカは私の額に手を当ててきた。
食事をいらないと言ったことで熱でもあるのではと思ったのだろうか。
私はそんなに食い意地張ってないと思うけど??
「熱はないようですがどこか具合が悪いのですか?お医者様をお呼びいたしましょうか」
「いらないわ。具合が悪いのではなくて眠いのよ。何もないならたまには寝過ごしても良いでしょう?」
「眠いだけなら起きてください。少し動けば目も覚めますよ」
軽く体を揺すり起こそうとされるが無視をする。
あくまでも侍女である彼女は私を強く起こすことは出来ない。
なので悪いとは思いつつそれに甘えて無視をした。
本音は実はそこまで眠くはない。ただ何もないのだから態々慌ただしく過ごしたくない。だから寝過ごす。
ご飯だって無理に食べたくない。流花は朝ごはんなんてエネルギーチャージで済ませてたくらいなんだから。
別に一食食べないくらいなんてことないでしょ。
「本当に体調が優れない訳ではないんですか?」
「カーリカ、しつこいわよ。私はただ何もないなら忙しなく過ごしたくないの。あなたにだってそんな日はあるでしょう?」
「ありません」
ぴしゃりと言ってのける彼女に再度寝返りを打ち身体を向けた。
「では聞くけど、朝起きてまだ寝足りないなと感じたことは?どうにもやる気が起きないなと感じたことは?あと5分だけ寝たいと思ったことは?予定を確認して何もなかったら寝たくなったことは?静かに一人の時間をゆっくりと満喫したいと思ったことは?」
「……あります」
「でしょう?なら今あなたがすべきことは?」
そういうとカーリカは小さくため息をつくと上掛けを丁寧に私に掛けてから静かに部屋を後にした。
何も言わずに。
せめて退出の挨拶ぐらいはしてはどうか。と思ったが彼女なりの配慮なのだろう。
去る間にも寝る態勢をとっていた私を気遣ったのだ。
これで漸く寝れる。
そう思ったら先程までは少ししかなかった眠気が一気にやってきた。
あくびをし仰向けになるなりそのまま沈み込む意識に身を預ける。
久し振りの何もない1日。
何も考えず寝て起きる。なんとも贅沢なことか。
その至福の時間を堪能するため、私はまた眠りへと落ちた。
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