21-2:何を言われてるのかさっぱりです。
ずばっと聞くじゃない。潔いのは好きよ。回りくどいよりずっとずっと好き。でも潔すぎるのもどうかと思うのよ。あなたハゲなの?て聞かれたらそうですハゲです。とはいかないでしょ。わかる?わかる!?
や、別に隠してないけど。……隠してない?わよね?隠してる?隠してるならそんないろんな属性をぽんぽんと使わないはず。というか聖女も魔女も知られてる話じゃないの?ああでも知られてる話ならリアラがあんなアホなフリしてるわけがない。なんて答えるのが正解なのか。悩むわね…。
「ラドル先生は我が家系がどんな家系かはご存知ですか?」
「知っている」
「そうですか。私は知りません」
「そうか…ってなると思うのか?」
「むしろなんで知ってると思うんです?」
「自分の家系のことならわかるだろ」
「何故」
「何故って…」
問いに押し黙る。必殺何故何どうして。これをされると大半の人はどこかで行き詰まる。行き詰まるのが早すぎて驚くぐらいだったけど。嘘でしょ。教師ならもっとあるでしょ。ないの?
「逆に聞くが何故マリアーネルは知らないんだ」
出た、逆に。聞き返せば答えられないだろとでも思ってるのか。答えますけど?
「ではラドル先生は先生のお父様に隠し子がいたとして、それを明かされてもいないのに知っている、ということでしょうか?」
「いるのか?!」
「知りません。例えばの話です」
「あ、ああ、なるほど…」
「ですが今のでわかりましたよね?知らないことだってあるのだと」
今の私はきっとドヤ顔になっていることだろう。別に論破だとか思ってない。だから性格悪いなんて言わないで!性格は悪くないはずよ!でも事実そうだと思う。知らないことを知っているはずだろうと言われて知ってたらそれはただのエスパーか超能力者か転生者…ああ、私転生者だった。でも知らないもの。だから調べてるわけで。
「…論点がズレてる気がするんだが」
「気のせいです」
笑顔を崩す気はない。なにがなんでも押し通す。そんな私に彼は盛大なため息をついていた。失礼すぎる。
「あー…まあ、それならいい」
「そうですか。なら戻っても?」
「ああ」
「それでは失礼しますね。あ、そうそう。因みに私が魔女だった場合はどうする気だったんです?」
折角なので聞いておく。それ次第では今後隠す必要も出てくるかもしれない。
「国の戦闘訓練に参加してもらうことになるな」
「魔女じゃないので参加不要ですわね」
そう言って足早に立ち去る。戦闘訓練なんて冗談じゃない。そんなむさ苦しそうなところになんて行きたくないのもそうだが明らかに軍事的すぎて色々怖い。神経は図太いほうだけど怖いものは怖いし関わりたくないものだってある。いずれは戦闘もあるかもしれないが今は求めていない。問題がまた一つ増えそうだと頭を悩ませてしまった。一体私はいくつ問題を抱えればいいのよ。
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「その回答が魔女ですって言ったようなもんなんだけどな…」
だらしなくもソファに深く腰掛け先程彼女が出て行った扉を見つめる。
国の戦闘訓練になんて言ったが、実はそんな優しいものではない。国から出すまいと各地で躍起になるだろう。むしろこの領からさえ出してもらえるのか怪しい。マリアーネル家が代々魔女を輩出している家系とされているが、それはずっと前の話だ。この200年は魔女が生まれなかったと聞く。故に滅んだとさえされていた。
それでもマリアーネル家は古くから続く力を持つ故に王家と渡ると言われている。今回は血筋的にも更に力を持つほどだ。
そんな中彼女の存在が知れればマリアーネル家を滅ぼそうと考える者、この国に縛りつけようとする者、利用する者…様々な思惑が予想される。聖女を守る盾、と言われている魔女だが実際は違う。魔女はこの世界の柱だ。救世主にも破壊神にもなり得る存在…。
「守護騎士…か。面倒なもんだな」
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