14:聖女と魔女。
本をいくつか漁り、それらしき本を見つけては手にする。ついでに魔法書も近くにあったため手に取り私は中央奥に置かれた机へと本を置いた。立ち読みに疲れたのもあるけれど、ここからは速読で頭に叩き込める気がしなかった。
「聖女に対してはこんな分厚いのに、魔女については案外薄いのね…まあ、それでも辞典並なのは変わらないけど。この世界は本に対して文字を詰め込むっていう考えしかなかったのかしら」
最悪魔法に関しては明日でもいい。そう考え先に聖女についての本を開いた。本当は魔女からと思ったけどなんとなく聖女の存在が気になってしまった。
聖女とはー
女神より神託を授かりし巫女。先見と予言の力を持ち、光魔法を得意とする。
その存在はある日突然現れる。特徴はピンクゴールドの髪に同じく淡いピンクの瞳。それは天性のものではなくある日突然変異したものにより色が変わるという。
ざっくりとまとめればそういうことだ、こんなに分厚いのに内容は薄っぺらくその程度しかわからなかった。書いてある内容は殆どが歴代の聖女の行いで、いつ、どんな状況でなど何もなかったのだ。
「そういえば、あの子もピンクの髪してなかった?ピンクゴールドって言えるほどかはわからないけど。それに使うのは光魔法だったし…」
あの子が聖女?でもそれならなんで周りはあの子を馬鹿にするの?聖女の情報は皆には知られてないとでもいうの?でも考えたらそうだ。リアラは人前で光魔法は使っていない。それに受け入れるのが我が家ということは我が家にあるこの本が外でも出回っているものとは限らない。…なら、周りが聖女の特徴を知らない可能性もゼロじゃない。
なんか頭痛くなってきた…。魔女についても調べたいのにやる気が家出してる。でも今調べないと私は調べる気がしない。そう言い聞かせて今度は魔女についての本を開く。
魔女とはー
万物に捉われることなき存在でありその魔力は理を逸する。その力は古より代々受け継がれゆく。特徴は家系により異なるが共通されしは魔力の素。生まれし時より闇の加護を受け全の力を持つ。
だからこれだけの内容なのにこの厚みはなんなの…。意気込んで読み始めた私が馬鹿みたいじゃない…。
とはいえ、聖女と魔女については分かった。全の力、ってのがいまいち分からないけど。
「ルカお嬢様、夕食の支度が整いました」
本を戻そうと立ち上がったところで丁度聞こえたノックの後にカーリカが顔を覗かせた。
「ありがとう、今行くわ」
魔法の本は折角見つけたがこれは明日だ。本棚に全て戻すと私は書物庫を後にした。
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