13:マリアーネル家
辺境伯って公爵より下よね?確か。なんで他のご令嬢方は私にへつらってたわけ?現代の政界もさらっと読んでみたけど特になかったと思う。王家の血筋と言っても従兄弟ではあまりにも遠い。私の知る辺境伯という立場は伯爵よりは上でも侯爵にあたるかあたらないか。という位だったはず。
貴族名簿さえ見ればある程度の人物の重要性はわかると思ったけど、そうはいかないみたいね。
私はあらかた貴族名簿に目を通すと本棚に戻し、少し手前に戻ると政界史を探した。
「ここの本棚だと思ったけど…ああ、これかしら」
政界史が見つからず目線を彷徨わせると暦学政界というのを見つけて手にする。またしても分厚い。でもきっとこれにも目を通したことがあるはず。目次であたりをつけると軽くパラパラと捲る。あった。
………。
なるほど。
どうやら私の家は複雑な家系のようだ。
この国には闇の使者とされる魔女という存在と、光の巫女とされる聖女の存在があるらしい。そしてこの暦学政界で言えば私はその魔女にあたる…って魔女!?私が!?でも使ってたの氷魔法よね?闇魔法なんて使ってないけど…。まあ良いわ…。その辺は後でわかるでしょ。
マリアーネル家は代々魔女が生まれる家系らしく、同時に、聖女が現れた時は我が家で受け入れてきたそう。
魔女は国を守るためにあり、聖女は国を護るためにある…てことは、魔女とされる私は戦争が起きたり攻め入られた時は前戦へ、聖女とされる者は光魔法で国を被害から守る役目ってことね。結界とかでも使えるのかしら。まあその類でしょ。ていうか、女性を戦にってどういうことよ…。だから辺境伯ってことなのね。まさに字の如くじゃない。ヨーロッパとかそういうよくある貴族の位で考えてたけど、そんなものは当てはまりそうもない。この国を護る要とされてる我が家はどの家も邪険には出来ない。ある意味ではどこの家よりも立場が上にあるとも言える。位としての立場ではなく、実質としての立場が。なんとなくは分かったけど、疑問も増えた。私が魔女だとして、聖女の存在は?そもそも私が魔女だという理由は?貴族名簿には書かれてはいなかった。では、何を読めば良いか。聖女と魔女について書いてるものを読むか、魔法書か。…先に聖女と魔女ね。それが分からないことには私が使える魔法もきっと分からないだろうし。
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