11-1:次から次へと…。

 迎えの馬車に乗り漸くと一息をつく。はー…残りの学園生活円満に送れるのかしら。あんなよく分からない人達と和気藹々なんて無理な気しかしないんだけど。ていうか私友人いないんじゃないの?なんか変な取り巻きじみたのはいるようだけど。


 ガタガタと少しの間揺られゆっくりと停まる。家に着いたのだと分かり降りる準備をしたところでドアが開く。差し出される手を取り降りようと一歩踏み出したところで目に入ったあまりにも大き過ぎる家を見て思わず足が止まってしまった。でか…。え、私こんなでかい家に住んでたの?嘘でしょ?固定資産税いくらなの?ってそうじゃない。本当にでかい。


「お嬢様?」

「え?あ、ああ。ごめんなさい、ちょっと考え事をしていたの」


 笑顔で誤魔化してさっと馬車を降りる。そして家…というよりは最早お屋敷の玄関へと向かい、先程の馬車で手を貸してくれた男性とはまた別の男性が玄関扉を開けてくれた。お嬢様過ぎる。

 朝はバタバタとしていたためにあまりちゃんと見ていなかったが内装も凄かった。目の前の階段もとても豪華だ。実は博物館なんじゃない?なんなのこの家…。居心地が悪過ぎる。こんなキラキラビカビカした家眩しくて目が疲れるに決まってるじゃない。


「お帰りなさいませ、お嬢様」

「ええ、ただいま」


 それでもどうやら私はやはり慣れてるようで、出迎えてくれた執事に素直に鞄を渡してしまった。なんてことなの…。


「お嬢様、アドルネア様がいらっしゃってます」

「アドルネア…ああ、あの方。何しにいらっしゃったのかしら」

「今回の縁談についてのお話がされたいと仰っておりました」

「そう。すぐに支度をするわ。それまで客間で待たせておいて。カーリカ」

「はい、お嬢様。お着替えの準備はできております」

「そう、流石ね。ありがとう」


 私のこの順応っぷり凄くない?あの男が来てることには内心かなり驚いてる。何しに来たの。って感じ。帰ったらゆっくりしたかったのに邪魔するとか何様なのか。まあ縁談についてとのことだったし案外婚約破棄がしたいとか?リアラが好きみたいだったしね。それならそれでご勝手にって感じ。手紙ひとつくれればそれでいいのに。聞いた話婚約だってそれで決まったっていうんだから。しかも私の意志関係なしに。

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