6:私、授業を受けます。
試験が終わると先生はクラス内の氷を風で溶かし熱で蒸発させてくれた。お陰で教室は寒くない。
真夏の授業はさっきみたいに冷やせば良いんじゃない?って思ったけど溶けたら水浸しになるか。うーん。まあこの世界の夏がどのくらい暑いかなんて分からないけど。
「試験の結果は追って伝える。では授業を始めるぞ」
そう言うとそれもまた魔法なのか先生は映像を映した。
テレビでもなく投影でもないそれに私はただただ驚く。凄い。
そうやって映像を使いながら説明をしてくれる。どうやら歴史の授業のようだ。
知らなかったのかって?だって最初になんの授業かなんて説明してくれなかったし。分からないわよ。
「ねぇリアラ、あの先生名前なんていうの?」
「え?あ、えと、ラドル先生ですか?」
「ラドル…ラドル……」
聞いてみても名前はやはり分からない。先生の名前を知らないまま行くわけにいかないし、今知れてよかったぐらいで行こう。
「何を人の名前ぶつぶつ言ってるんだ」
「あら」
「あらじゃない」
「申し訳ありません」
「謝るのは良いことだがそうじゃなくてな…」
先生はなんだかとてもやりづらそうな表情だ。注意をしようとしたら先手で謝られてはまあやりづらいわよね。分かってて先に謝ったんだけど。
「はぁ…なんで声をかけられたか分かってるなら前を向け」
「ええ、承知しましたわ」
にこりと満面の笑みを先生に向け返事をし前に向き直る。
そんな様子を隣のリアラが何度も伺い見ていたことには気付かなかった。そしてそのまま授業が進んでいく。
「あの…」
「…」
「マリアーネル様…」
「…」
「マリアーネル様」
「なあに?リアラ」
何度も小声で呼んでくるリアラ。最初は私語でまた注意されたくないと思い無視をしていたがしつこく何度も呼ばれては反応せざるを得ない。小猿みたいだと思ってしまった。
「その、えっと…」
「…」
言えないなら呼ばないでほしい。まだ授業中よ。ああでも正直お腹が鳴りそう。早くお昼にならないかな。授業の内容は面白いとは思うけれど何となく先程教科書をパラパラと読んでしまった為図は頭の中に入っている。どうやら私は割と頭がいい方なのかも。魔法も結構使えるみたいだし。とはいえ属性は分からないから帰ったら色々試す必要はある。
この後の授業でまた魔法のことをやるのかと思ったが簡単な基礎知識の応用ばかりで実技とかはなかった。ちょっと残念。
など考えているといつの間にか授業は終わったようだ。チャイムが鳴っている。
チャイムとかあるんだ…なんて感心しているとふと思い出した。しかし隣の席に目をやったがリアラはもうそこにはいない。結局何だったのか。
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