1:私、転生したそうです。

「まったく…貴族のご令嬢でもあるお方がぎゃあああだなんて、はしたないですよお嬢様。びっくりしてしまいました」

「はは…ごめーん…」


 私の髪をブラシで丁寧にとかしているのは私付きの侍女のカーリカ。

 綺麗な黒髪にアーモンド色の瞳をしていてとても可愛らしい見た目だが、こう見えて24歳だそうだ。見えない。高校生でも通じるわよ。本当に。

 そしてさっき鏡に映っていたキラキラ過ぎる金髪に淡い緑の瞳の色をした知らない女の子…基、私。ルカ・マリアーネル。


 どうやら私、転生したようです。


 ていやいやいやいや!そんなことある!?てかここどこ!?全く知らないんですけど…!なんて思わず冷静なノリツッコミをしてしまう。



 私の名前は楠木 流花(クスノキ ルカ)、22歳。

 大学を卒業して新社会人としてずっとバイトをしていた出版社に入社をし、毎日楽しく過ごしていた。

 とはいえさすがは出版業界。そんなに大きくない会社ではあったけれど新人にも容赦がない。毎日残業残業残業!の日々。それでも憧れの業界で働けて嬉しかったし優しい先輩方や作家さんのお話に触れる機会を貰えたりとか本当に充実した毎日だった。

 しかしやはり働きすぎは身体に良くなかった。

 気付けば私は短い睡眠のせいか食欲もなくなり拒食症の出来上がり。そんな状態が長くも続くわけもなく、たったの半年で私はぶっ倒れてしまった。

 まあ…アルバイトの時も結構働いてたし、課題とかもあったから睡眠時間毎日2時間とかだったしね、そりゃあね。うん。倒れますよね。でも朝はやっぱ好きなのよ。仕事も好きだった。

 まあそんなこんなで倒れた私はそのまま亡くなったのだろう。家族には申し訳ないことをした。

 そして今に至る。…んだけ、ど!

 転生って何やだ素敵ー!てことはここはゲームとか小説とか私の知ってる世界ー!?きゃーどうしましょ素敵な王子様と婚約とかしてたりしてー!きゃー!

 てなるわけねーだろ!!!どこよここ!

 どう見ても知らない世界だし…そもそも私ゲームしないし…。小説は読むけどね。それこそジャンル問わず。仕事も小説出版だったし。漫画もまあ少しなら。

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