2:私、転生したそうです。
「まったく!貴族のご令嬢でもあるお方がぎゃあああだなんて、はしたないですよお嬢様。びっくりしましたよもう」
「はは…ごめーん…」
ブラシで髪を丁寧にとかしてくれているのは先程部屋に入ってきた侍女のカーリカ。メイドではなく私付きの侍女なんだそう。
綺麗な黒髪に焦げ茶色の瞳をしていてとても可愛らしい見た目だが、こう見えて24歳だそうだ。見えない。高校生でも通じると思う。
そしてさっき鏡に映っていた金髪美女…基、私。ルカ・マリアーネル。
どうやら私、転生したようです。
ていやいやいやいや!そんなことある!?ていうかここどこ!?全く知らないんですけど!なんて思わず冷静なノリツッコミをしてしまう。
私の名前は楠木 流花(クスノキ ルカ)、22歳。
大学を卒業して新社会人として大学1年の時からバイトをしていた出版社に入社をし、毎日楽しく過ごしていた。
とはいえさすがは出版業界。そんなに大きくない会社ではあったけれど新人にも容赦がない。毎日残業残業残業!の日々。それでも憧れの業界で働けて嬉しかったし優しい先輩方や作家さんのお話に触れる機会を貰えたりとか本当に充実した毎日だった。
しかしやはり働きすぎは身体に良くなかった。
気付けば私はいつの間にか不眠症になり、毎日眠らずに仕事に打ち込む日々が続いた。そんな状態が長くも続くわけもなく、たったの半年で私はぶっ倒れてしまった。
まあ…アルバイトの時も結構働いてたし、課題とかもあったから睡眠時間毎日2時間とかだったしね、そりゃあね。うん。倒れますよね。でも朝はやっぱ好きなのよ。仕事も好きだった。
まあそんなこんなで倒れた私はそのまま亡くなったのだろう。家族には申し訳ないことをした。
そして今に至る。…んだけ、ど!
転生って何やだ素敵ー!てことはここはゲームとか小説とか私の知ってる世界ー!?きゃーどうしましょ素敵な王子様と婚約とかしてたりしてー!きゃー!
てなるわけねーだろ!!!どこよここ!
どう見ても知らない世界だし…そもそも私ゲームしないし…。小説は読むけどね。それこそジャンル問わず。仕事も小説出版だったし。漫画もまあ少しなら。
でもその小説でもルカ・マリアーネルという名前は愚か、こんな美女は記憶にない。誰か助けて…。
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