流花とルカはお断り 〜婚約?悪役令嬢?ごめんなさい、私あなた達のこと存じ上げないの〜
アメノチハレ
プロローグ:始まりの朝
「んん〜……はあ。よく寝たぁ…」
思い切り伸びをしながら身体を起こす。朝のこの時間が私はとても好きだ。
よーし今日も頑張るかー!っていう気になる。
家族はよく会社に行きたくない、学校に行きたくないって言いながら朝を過ごしてたっけ。でも私は違う。朝がとても好きなのだ。
「さて、さっさと支度して今日も仕事行こうかな」
ベッドから飛び降りるようにして出ようとした時、その手に触れた感触に一瞬立ち止まる。
「あれ?私の布団こんなにふかふかしてたっけ…まるで凄い上質な羽毛布団みたいな…でも少し硬い?布地だけ豪華な布団みたいな…柔軟剤変えた?てか最近いつ布団干した…あれ?」
布の感触を確かめていて気が付いたが、袖にやけにフリルがついている。私のパジャマはとてもシンプルで、ちょっとださいかもしれないけれど高校の時に着ていたジャージを愛用していた。パジャマとしての機能がとても優れていてあれほど動きやすいものはないと思う。
「待って、何これ。え?嘘。私こんなの着て寝た!?酔ってたのかな…いやいやそもそもこんな服持ってないし…」
思わずくるりとターンを踏みたくなるようなひらひらとした服。ワンピースのようにも見えるがどう見てもネグリジェの類だろうとは思う。透けてないけどね。透けてないわよ!
「ええ…本当に何これ。どこで買っ……ぎゃああああああああああ!!!だれ!あんた誰!!!!え!なに!?だれー!!!!」
「お嬢様!?どうされましたか!!」
そう言って入ってきたメイド服のお姉さん。私はと言えばそんなの気にする余裕もなく、鏡に映る私を見て何度も鏡をペタペタと触ってしまった。
だって知らない人が映ってるんだもん!意味わからないから!誰!あんた誰なの!ほんとに!こんな顔私見たことないですけど!?夢!?夢にしてはリアル過ぎない?あ、妹?そうか妹…って私に妹なんて居ないわよ!弟なら居ますけどね!クソ生意気な弟が!
「お嬢様?あの、…お嬢様、そんなに鏡を見てどうされたのです?」
「へ?おじょ…うさ…ま」
私?と思わず聞いてしまった。そんな私を見て困ったように首を傾げるメイドさんらしきお姉さんに私はあははーとただ愛想笑いを浮かべるのだった。
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