第五章 かなしみの叫びと世界の浄化――未来へ
第一節 聖子皇后
第四十話
気がついたらもう太陽は高く昇っていた。
「あたし?」
「昨日は能力を使い過ぎたんだよ」
「
「おはよう」
「おはようございます……きよあき、さま」
あたしは、
「ん?」
「……ほんもの……よかった……」
「ほんものだよ」
それから、寝ているあたしに覆いかぶさるようにして、キスをする。
「このままだと、離れられなくなってしまう」
そう言って、くすりと笑う。
「起きられる? みなが待っているし、相談したいこともあるんだ」
「うん」
身支度をして、
今上帝が半身を起こしていた。
「
「
「よかった」
高子
こうしてみると、高子
真っすぐな髪も瞳も。
高子王女は
印象が全然違う。
もしかして、昨日の
「昨日の折り鶴の舞いの祈りで、
「半分?」
「何しろ、強力な呪だったから」
半分の
「なんと、死んでおらなんだか!」
そこへ、強い声が刺さった。
振り返ると、ゆるいウェーブがかかった長い髪を垂らして、赤いヒガンバナを髪に挿した女性が入ってきた。
「
オーラがあった。
全身から、気を発していた。
ヒガンバナの花言葉は、情熱、あきらめ、そして悲しい想い出。どうしてだろう。悲しくて胸が痛い。
聖子皇后は
「ようやく死んで、世の中が平和になると思うておったのに」
と言った。
「高子」
今度は高子
「お母さま」
「おぬしはここで、何をしておる」
「……だって。お父さまが心配で……」
高子
「ふん」
聖子皇后は上から見下すようにそう言うと、もう一度
「お前は死んでいればよかったのだよ。死体を見に来たのに、なんでぴんぴんしておるのだ?」
「……お前は昔から可愛げがなかった。その白い髪、金色の瞳。……たまたまであろう? 何が伝説の姿だ。疫災そのものではないか」
空気は張り詰めて、その場にいるものはみな、聖子皇后の迫力に押されていた。
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