第九話
こちらに来たとき、上から見えた、これまでに見たことのない形状の建物は、
その、大祭殿に
皇族の面々、
壮麗な光景だった。
美しく飾られた祭殿に、
ふと、鋭い視線が突き刺さるのを感じた。
――この中に、
そう考えると足が震えた。
「宮子、わたしがいるから」
「はい」
あたしは胸を張り、毅然とした態度で
弦楽器が鳴り、
和歌を書き終わったあと、今上帝が詠唱する。
旋律を伴って、歌うように。
神の
清き瀬の白き
みやこ
紐
花咲けと神に祈れば
今上帝の声が朗々と響き渡り、同時に紙に書いた文字が光を持って浮かび上がり、天に昇って行った。
そして次に
そして、詠唱する。美しい歌声が響く。
天皇家とそれに極近しい血筋のものだけが、天に住まう天帝に詞を届けることが出来る。
それがこんなにも美しい光景だなんて。
天皇家のものたちは、ただ名前だけを呼ばれ、通常、氏は呼ばれない。
しかし、氏はある。
今上帝の長歌による祝詞と、
ライスシャワーのように、白く細かな輝き。
ああ、分かる。
浄化されている。
あたしも、すべての人たちも。そしてこの世界そのものが。
これが、
人々の歓声が聞こえ、辺り一面祝祭の
集まった人々へ視線を巡らす。
「宮子、ありがとう」
「
「――大切にするから」
う、うん。
あたしはなんとか頷いた。
イケメンのイケボの囁き、禁止にして欲しい。
ああ、勘違いしてしまう……!
天からの光に加え、今上帝の
音楽隊の演奏が
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