第八話
「それにしても
「そうなの?」
「そうです。
「そうなんだ」
「そうですよ。白い髪を持つ天皇と濡烏の髪を持つ皇后の御代は繁栄すると、昔から言われています」
「……あたし、まだ皇后じゃないわよ」
「まだ、
あたしの胸はちくりと痛んだ。
あたし、とりあえずの仮の妻だと思うんだけどなあ。
でも、かわいい
「さ、出来ました! お美しいです、宮子さま。鏡をご覧になってください」
姿見に映る自分の姿は、確かにきれいだった。
十六歳の自分。
こんなにきれいだったんだ。
自分なんだけれど、自分じゃないような不思議な気持ちがした。
三十歳の自分は思慮深いつもりでいた。でも同時に臆病にもなっていた。そして、少し後ろ向きでもあった。
だけど、あたし、もともとはもっと元気で前向きだった。
実際に十六歳だったときは自覚がなかったけれど、こんなにもエネルギーに満ち溢れている。
「美しいな」
いい声がして振り向くと、
「
頬が赤くなるのを感じながら、そう言う。
「……
「き、
「わたしも宮子、と呼ぼう。さあ、行こう」
「どうした?」
「い、いえ」
「緊張しなくてもよい。わたしがいるから」
……もっと緊張するんですけど!
「大丈夫。わたしが宮子をずっと大切にする」
あなたは二十三歳だということです。
ということは、ほんとうのあたしより、七歳も年下なの。
だからね、あたしがあなたを守りたい!
あたしはそんな気持ちを込めて、
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