第三節 結婚――皇太子妃になる!?
第五話
「お気づきになりましたか?」
美しい顔が苦しそうに歪んで、胸が痛んだ。
「……すまない。倒れたのか、わたしは」
「はい――あ、起き上がって、大丈夫ですか?」
「大丈夫だ――これでも、
「あたしが?」
「そうだ。そなたは、橘の始祖の血筋の魂を持つものだから」
文字の能力は天に住まう天帝から授けられた。
それが天皇家の始まり。
天皇は代々、天帝に
そして、天皇家の血を分け与えられ発展して行った家を特別に
「
「そう、橘の。わたしの母も橘だ。――いま、残念ながら天皇家は安泰とは言えない状況にある。この状況を打破するために、異界にある橘始祖の血筋のものを呼んだのだ。
してしまう。だめだめ! いま、すごく大事な話なんだから!
「……わたしのこの病状も、力の強い何者かの呪いによるものなのだ。……
真剣な眼差しに押されるように、あたしは和紙に「清白王」と書いた。一文字ずつ丁寧に。心を込めて。
「そして、わたしの名を読んで欲しい。書いたままに、
「……
心を込めて、発音する。愛しさも込めて。
すると、あたしが書いた文字は光を放ち、あたしがここに来たときと同じように、金色の光が辺り一面に浮かんだ。そして、光は
光を吸収した
「ありがとう、宮子どの。宮子どののおかげで、完全ではないものの、
「あたしが?」
「そう」
「
あたしはあのときの光景を思い出す。
白い鳥が美しいうたを歌って、
「とても、きれいだったわ」
「そう。みな、心を奪われた。そして、分かったのだ。宮子どのが橘の始祖の血筋の魂を持つと。宮子どのには強い文字の能力があると」
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