AR・アーマーズ
明日から学校が始ろうとしているこの暖かい四月六日の朝一の事、正直に言えばまだ支度しないといけない事だってある中、俺は朝食を食べて直ぐに木製の椅子の背もたれに体重を乗せてからやる気を見せない素振りを周囲に見せつける。
僕以外誰も居ない…僕『
やる気で無いなぁ…そんな感じだ。
お昼に買いに行けば良いか…どうせ必要なのはARアーマーズ専用のゲーム機だし。
なんで学校の必需品にゲーム機を入れるのだろうかと、今時にそぐわない批判的な感情丸出しで不満を抱いてみる。
まあ、自分で選んだんだけどさ…失敗したかなぁ。
すると玄関のチャイムが鳴り響き僕が玄関に付いているカメラ越しに相手を確認すると、宅急便らしく僕は「そこに置いておいてください」と言い宅配会社の人が居なくなってからそのまま荷物を取り込んで僕はそれをリビングのテーブルの上へとそっと置いた。
差出人の名前の所には祖父である
「お祖父ちゃん? 俺何か頼んだっけ? それとも…いいや身に覚えが無いな…」
脳裏にある記憶を必死で探って見たのだがまるで身に覚えの無い、と言う事はお祖父ちゃんが僕のために送ってくれたプレゼントだろうと推測。
まあ、僕に何も言わないで送ってくるプレゼントが陸なプレゼントじゃない事は間違いが無いが、まあ身の危険が迫るレベルでは無いと思いガムテープを剥がしてから中身を確認する。
今時見たことも無い古くさい新聞紙で包まれている昔見たスマフォという奴より少し大きいレベルだろうか?
その上に一枚の紙、これまた珍しい紙なんて今時あまり見ないのだが、僕はその真っ白な紙を手にいて裏返す。
黒い文字で一つ。
『紙なんて珍しいと思ったじゃろ?』
「余計なお世話だよ!!」
つい突っ込んでしまった。
あのお祖父ちゃんに僕がどうして一回一回付き合わないといけないんだ?
僕はお祖父ちゃんの紙を捨ててしまい、中にある新聞紙で包んでいる物体を取り出してから中身を取り出した。
コントローラーが画面と一体化しているタイプのゲーム機、記憶粒子も搭載されていることが大きさから見える。
大きさからすれば両手より大きいぐらいだろう。
まあ画面は遠くでプレイする為のモノで、それ以外にも装置に搭載することも前提されているのは旧式からずっと続いていたタイプだが、僕はこんなタイプは見たことが無い。
というよりは最近は完全に一体化しているのは見たことが無い。
明らかに二十年ぐらい前のモデルだろうが、しかしそのくせに触った限り結構最新の機器が使われている。
明らかに専用に作られてモデルだろうが、お祖父ちゃんが明日から学校の僕に気を効かせてくれたのだろうか?
「なんか面倒事を押しつけられた気がするな…何だろうな……まあ買いに行く手間が省けたか…でもなんで俺が買ってないと気がついたんだろう?」
『至ってシンプルな推測だな。この家のネットワークは常に監視されている。通販で購入したのなら履歴に残っているはず。学校の名前を事前に言ってある上、この街は全ての学校でARアーマーズが授業として取り入れられている。その上今時販売店まで行って買いに行けば親会社の会長であるお前の祖父ならそれも直ぐ分かる』
「何処かから声がする?」
『貴様の前の前にいるだろう? ほら…ゲーム機の中だ』
そう言われてゲーム画面を見てみるとそこには黒い装甲を付けている人の顔を擬似的にでも再現したロボットが写されている。
「AI? いや…在るというのは知っているけど。こんなに多彩な言葉を放つなんて…そこまでレベルの高い人工知能なんて知らないぞ。殆ど人間じゃないか」
『人間をベースに開発されているモデルだ。仕方が無い。最も限界はあるがな…』
「これもお祖父ちゃんが? 父さんが作ったモノを俺に寄越すとは思えないけど?」
『君は父さんという存在をずいぶんな形で信頼しているんだな? まあ勝手にすれば良い。その推測は当たっているし間違っている。まあ私の開発秘話を知りたいのならお爺さんにでも頼めば良い』
先ほどからずっと疑問に思っていたことだが、どうにもこのAIは内の祖父の事を相当の信頼を寄せているらしい。
そこまで思い出した時点で僕は古くさいお話を思い出したのだ。
今から五十年前、お祖父ちゃんが十八歳の時の出来事である。
世界は第四次世界大戦寸前まで追い詰められていたとき、世界はAIを開発することに躍起になっていたそうだ。
会社の名前は『ビビアン・ゲームズ・コーポレーション』の『ビビアン』の名前はその時開発したAIから来ていると聞いた事がある。
『その話、随分としつこく聞いたために渋々話したろう? あの男があの嫌な事件をぶり返す訳がない』
「やっぱり今から五十年前に作られた『ビビアン』と同じレベルのAI? まさか他のモデルが在ったとは知らなかった」
『隠されていたからな』
「何故隠す? 後ろめたい事があるからか?」
『フム…やはりその勘の良さと常人を遙かに超える空間認識能力。あいつの子孫だな。まあ良い。私が言われたことはお前の日常生活から色々な側面へのサポートだ。嫌でも引き受ける』
そう言って画面から姿を消すと室内の至る所の電子機器が勝手に動き出し、僕の通信デバイスである『インコム』がぷるぷると動き出す。
僕は右腕に付いている腕輪型のインコムを起動させると、仮想ウィンドウがその姿を現しその画面に先ほどのAIが映り込んだ。
「ハッキング? いやクラッキングだな。まあ正式名称なんてどうでも良いんだけど。勝手に人の家のシステムを掌握しないでくれる?」
『しなければお前の身の回りの護衛が出来ん。まあ必要あるとは思えんが』
僕は人の五倍以上の
有り体に言えば真後ろの離れた場所から狙撃されてもその大まかな位置が僕には分かってしまう。
僕の父も祖父も同じ事が出来る故、これは遺伝らしいがその理由を僕はまるで知らない。
教えてもくれない上、父親も「知らない」の一点張り。
『勝手にするからお前は気にしないで良い。私が勝手にするだけだ…それより明日から本格的に学校なのだろう? 入学式が終わればARアーマーズの授業もある。少し手を付けておいた方が良いんじゃ無いか?』
「それより…そろそろ名前を教えてくれない? 『ビビアン』みたいな名前があるんだろう?」
『そう言えば言っていなかったな。私の名前は』
彼は満を持して言う。
『私の名前は『ヴァイル』だ。これからよろしく頼む。さて…ARアーマーズの授業を始めようか』
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