第6話  お茶

「それで先輩、何飲みますか?」


阿瀬はメニューを俺に見せてくる。

そこにはトロピカルジュースが並んでいる。

夏の代名詞と言っても過言では無いブルーハワイ、さっぱりとした味わいを楽しめるレモン、甘酸っぱさを感じれるパイナップル等彩りよく揃えられていた。


「迷うなぁ...阿瀬はもう決めたか?」

「はい!私はパイナップルに決めました! 私黄色好きなので!」

「黄色は活発なイメージあるし阿瀬に合ってていいんじゃないか? んーじゃあ俺は定番のブルーハワイにしようかな」


俺の要望を聞いた阿瀬はせっせと注文しに行った。

そして暫くすると2つのカップを手にこちらに戻ってきた。


「はい先輩のブルーハワイ!」


そう言って手渡ししてくる。


「おう、サンキューな! それでストローはどこに...?」


阿瀬が渡してくれたカップにはストローが刺さっていない。

なんなら、阿瀬のジュースにも...。

疑問に思い阿瀬を見つめる。

そうすると、恥ずかしそうに何かを渡してくる。


「いや、カップル用のストローやないかい!」

「えへへ、先輩の恥ずかしがる姿見ようかなと...!」

「お前...アホなの?」

「えっ...」

「いやだって、それだとお互いのどっちかしか飲めないやん...」


...

お互い沈黙が流れる...。

これは流石に気まずいな。

よし、先輩見せたるか。


「俺阿瀬のパインも飲んでみたいからストローちゃんと貰ってきてくれる?」

「は、はい分かりました!」


ビューンという音が出てるのか位のスピードで顔を赤くさせながら行った。

どうしたんだあいつ。


また暫く経つと...

今度は両手にストローを1本ずつ持った阿瀬がやってきた。


「先輩!」

「おう!」


阿瀬が俺のブルーハワイのカップにストローを刺して飲め飲めと催促する。

ちょぴっと吸う。


「んー!やっぱ夏といえばこれよ! サイダー風味が最高に美味い!」

「へーそうなんですね〜。 先輩1口下さい!」

「おうよ!」


俺は阿瀬にカップを渡す。

なんでそんなに無遠慮に渡すんですかね...とボソッと呟いた声が聞こえた。

よく分からんが聞こえないふりをしておく。

阿瀬は飲む分量を考えてるのか一向に口をつける気配が無い。


「阿瀬、いっきに吸っちゃっていいぞ。」

「いいんですか! それじゃあ遠慮なく!」


そう言うと阿瀬はストローを思いっきりしゃぶる。

えぇ...その飲み方はなんか変やぞ...。

とか内心思ったが声には出さない。

勝手に俺がドン引きしてるとズズっと音がした。

俺はブルーハワイが入っているカップを見て


「何全部飲んでねんおらぁ!」


阿瀬の頬を引っ張る


「ひつの間にくぁづい!」

「そんなん知るか!」


罰という事で俺は阿瀬の頬の感触を楽しむ。

モチっとしているが、何よりハリを感じる。

柔らかいなぁ...。 ずっと触ってられる。

モミモミしてると何やら喘ぐ声が聞こえた気がしたので辞めて阿瀬を見つめた。

顔を上気させた美少女が居た。

正直これは惚れる。

なんて思っていると、


「んぐ」


口の中に何か入ってきた。


「先輩これあげますね! 私との間接キスストローで飲むトロピカルジュースは美味しいですか〜♡」

「っ!」


やってる事が恥ずかしい事にようやく気付いた俺は逃げるようにその場から離れようとする。

だが、阿瀬に腕を掴まれる。


「私にだけ恥ずかしい思いさせて...逃がしませんよ?」

「一思いにしてくれ...」


その後海の家から顔を真っ赤にさせ急に倒れる男と興奮してはしゃぐ女がいたと言う情報が...

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