第5話 逆(?)ナンパの後(?)

いざこざが起きた場所は人が集まっていたので逃げるかと言うことで阿瀬が一直線に歩き始める。

どこか行くのだろうか?と思いながら着いていく。

俺が着いてきたのを確認した阿瀬は話しかけてくる。


「それにしても先輩運ないですね~ ホモな人に目をつけられるなんて...」

「まだ阿瀬がナンパされるってなら全然分かるけどなぜ俺よ?おかしくない?」

「きっとあの人達には先輩が魅力的に見えたんでしょうね~」


あの時の俺の様子を思い出したのかちょっと笑いそうな感じで言った。


「おい、あれ結構メンタル来たからやめろ。 初のナンパがあんな野郎で俺凄い悲しいんよ...。 かわいい子やら美人なお姉さんにナンパされたい運命だったわ。」

「そうですねぇ...。」


阿瀬はなぜか場違いな返事をした。

淡白な反応珍しいな、なんて思っていると


「先輩あそこで座って少し待っててください。」


阿瀬が砂浜に指をさした。


「なぜ?」

「お願い♡」


そう言って手を胸の前に当ててお願いポーズを取った。


「ん、まぁいいけど理由は?」

「ちょっとやりたいことあるので...!」

「そのやりたいこと俺の手伝い要らないの?」

「要らないです! 聞き分けの悪い男は嫌われますよ...?」

「はいはい、もう理由なんて聞かないから早くそのやりたい事でもやってこい。」


しっしと阿瀬に早く行けアピールをしとく。

何か言いたそうだったが諦めた様子で阿瀬はどこかへ歩いていく。


阿瀬がどこかに向かってから数分経っただろうか?

まだ阿瀬が近くに居る様子は無く、俺は目の前の海ではしゃいでる子供達の様子を見て暇を潰していた。

楽しそうに遊ぶなぁと頬を少しほころばせながら、 今阿瀬は何をしているんだろうかと考える。


「お兄さんいい顔で子供見てますね~ 子供好きなんですか?」


いきなり落ち着いたお姉さん系の声で俺に話しかけつつ横に座ってきた。

隣に座ってきた人の顔を見る。

阿瀬やんけ。何してんのお前。


「お前何してんの...? わざわざ声まで変えちゃって...。」


そういうと阿瀬は俺の腹に思いっきり拳をぶつけていう。


「子供好きなんですか?」


と、どうやら俺の話を聞くつもりは無いらしい。

合わせてやるか。


「遠くで見る分には結構好きですね~。 あの楽しそうにはしゃぐ姿を見ていると元気をもらえる気がするので。」

「そうなんですね! 私も子供好きです! 私達気が合いそうなのでよかったらここでドリンクでも飲みながらお茶でもしませんか? 」


阿瀬(笑)が海の家のチケットを俺に提示しながら言う。

少しからかうか。


「いいですね~ あ、でもすいません。 自分、人を待ってるのでお話はありがたいのですが遠慮させてもらいますね~」


そういいつつ俺は立ち上がる。


「もう先輩!! 先輩の為にやってあげてるのにその態度なんですか!!」

「え、俺の為なの...?」


先輩の為に~って言ってたし俺の為にナンパしようとしてくれてたって訳か。

阿瀬に全て分かってるぞと言う意味を込めた笑顔を見せる。


「え?何の話ですか...?」


阿瀬はキャラバレしてしまったのを無理やり修正させるようにトボけた。

いや、それは無理があるやろ...。


「それで行きますよね...?」

「行きますか...。」

「それで行く条件なんですけど...!」

「条件あるの!? 面倒だからパス!」

「すぐ終わるやつだから!!! 先輩、私の格好はどうですか?」


おい、キャラまた崩れてるぞ。 

まぁでも、確かに俺の為におしゃれしてきただろうし、何よりさっき言うタイミング無かったからちゃんと褒めるか。


「白を基調としたビキニが何ていうか清楚な大人っぽさが阿瀬に似合っててかわいいと思うぞ...?」

「うへへぇ」


おじさんが出しそうな声で顔を蕩けさせながら喜ぶ。


「私は阿瀬なんかじゃない! えーと私の名前は...そうそう、布瀬ふせっていうの!覚えといて!」

「はいはい、布瀬さん」

「まぁちゃんと褒めてくれたしお姉さんがドリンク奢っちゃうよ! それじゃあ行こか!」


俺の手を引いて海の家に向かって走り出した。

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