第2話 駅で待ち合わせ
午前8時頃アラームがジリジリと鳴る。
「ん、もう朝か。」
なんでこんなに早くアラーム設定したんだっけと寝ぼけた頭で考えているうちに目が冷めてきた。
そうか、阿瀬と海に行く予定があるんだった。
昨日準備した荷物を持って洗面台へ行って顔や歯を磨き、2階にある自室から1階にあるリビングへと向かう。
「諸紅郎おはよ~」
と何やら眠そうな声で挨拶してきた。
「あ、ねぇちゃんおはよ。」
これは俺の姉の夢衣
さすがに阿瀬よりかはちょっとだけランクは落ちるが、透けるような白い肌、少し明るめな茶色のロングヘアをした奥ゆかしい大人っぽい雰囲気の女性だ。
阿瀬はなんていうか後輩の理想のスタイルで、姉は大人っぽさを感じる背の高さっていう感じで差別化できる。
さっき大人っぽいとは言ったが、それは雰囲気だけで実際はちょっとしたブラコンである。
ブラコンと断言するエピソードは沢山あるが、あまり良い思い出では無いので思い出したくない。
「そんな荷物持ってどこ行くの?おねぇちゃんも着いてってあげよっか?」
ニマニマとからかうように言ってくる。
「後輩と海に行ってくる~ 後ねぇちゃんは来んな。」
「酷い諸紅郎、昔はこんなに素っ気なくなくてねぇちゃん!って後ろに着いてきてたのになぁ...。あの頃はかわいかったね~ まぁ今もかわいいけど!」
「やめろよ恥ずかしい! もう時間無いしそこにあるパン食べて行くね~」
「ほい~彼女さんと楽しんできてね~」
「彼女ちゃうわ!」
「ふむ、女の人と行くのね。私嫉妬しちゃうかも。」
「なぜバレたし...ねぇちゃんそういうの良いから。 マジで待ち合わせ遅れるから行ってきます!」
俺は姉の返事を聞かずに家を飛び出す。
ーーーーーー
全力疾走で待ち合わせの駅前のベンチへと向かう。
そろそろ着くかなと思っていると、待ち合わせのベンチの方から何やら嫌そうな声が聞こえた。
嫌な予感がした。
待ち合わせのベンチ前に着くとそこには阿瀬と、いかにも大学生と言った容姿の人が一名何やら言い合いをしていた。
「私そういうのやめてって言ってるよね?」
普段の彼女からは全く想像できない氷点下のような冷たさを感じる声が聞こえた。
「待ち合わせてるって言っても君30分前にここに座ってるけど一向に人が来る気配ないよ? 実際はナンパ待ちしてたんでしょ? だから俺とお茶しようよ。」
うわぁナンパの対応面倒くさそう。
なんて思っていると、
「先輩!やっと来たんですね!」
と俺に向かって全力疾走してきてそのままの勢いで押し倒してくる。
ドタっと俺の尻が地面に当たり尻が2つに割れる感じがした(元から割れてるが)
「いてぇよバカ! 向かってくるにしても加減を考えろ加減を!」
「だって先輩を見つけて安心したんですから仕方ないです...。」
「そうか、それなら良かった。」
俺は阿瀬の頭を撫でる。
阿瀬は気持ちよさそうに体が動いている。
俺の手の動きに合わせて体が動いているのを見て何やら可笑しくて笑ってしまう。
そんな事を思っていると、とある声で我に返る。
「おい、お前!ずるいぞ!」
さっきの男が何やら阿瀬の頭を撫でるのがずるいと言ってくる。
いや、ずるいってなんだよ。
アホかこいつ?
なんて思っていると
「お兄ちゃんやめて!もう二度と私、いや私達に近付かないで!」
迫真の様子で阿瀬は言った。
「お、お兄ちゃん?」
「そう、こんな変なやつでも私のお兄ちゃん。」
グサっと刺されたようにお兄ちゃんらしき人が膝から崩れ落ちる。
「みどり、あんまりだぁ...。」
そういうと涙を流し始めた。
「こんな奴無視して行きましょ 先輩♡」
「いや、行けるか!」
「良いから!」
俺は阿瀬に腕を引っ張られながらお兄ちゃん?を置いて駅へと向かった。
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