閑話 クリスマス?
「ねぇ、和弥。言われてた衣装できたんだけど、これでいいかどうか着て見てくれない?」
「あぁ…、母さんに頼まれて幼稚園に行く為のやつか。そっちも今着るっておい!」
そこには、赤い鼻のトナカイの恰好をした真琴が手袋や足の形した靴をチェックしている姿が。
「ん、どうしたの?」
嫌な予感がして、袋の中を覗くと赤いコスチュームが見えた。
「俺が、サンタなの?」
「ほら、和弥ミニスカサンタがいいって言ってたからミニスカよ?」
(違っがう!俺は自分が見る方を期待して言ったんだって)
「あぁ……、この悪気のなさそうな顔見てるとド天然なのは判るんだが」
「大丈夫、中に履く用の見せパンも作ってあるから♪」
(その気遣いができるなら、普通の長ズボン用意してくれよぉ)
「それより、これ本当に俺が着るんで?」
「和弥以外に、誰が着るの?」
(貴女に、着て欲しいんですといいてぇ!)
※そしてそれから、クリスマス会に行ってきてその後
そんな訳で、結局頼まれたクリスマス会でプレゼントを配って来た訳だが。
「園児より、保母さんたちにクッソ人気だったわね和弥」
「ずっと、頭ん中帰りてぇで一杯だった」
「でも、玩具クジや文房具クジもそうだけど。ケーキとか喜んでくれたじゃない」
「幼稚園に行って、子供が喜んでなかったらそれこそ最悪だろ?。それより、真琴もトナカイ凄い人気だったじゃんか」
そういうと、頬を少し指でかきながら苦笑した。
「まぁね~、ただトナカイの恰好で一緒にダンス踊ってたから少し疲れたかな」
「まさか、スタミナお化けの真琴から疲れたなんて言葉を聞くとは思わなかったよ」
和弥のほっぺを軽くつまんで、真琴が引っ張る。
「痛っ」
「私だって、疲れる事だってありますが?」
「悪かったよ」
直ぐに真琴がつまんでいた手を放すと、二人で暗くなりかけの空を見た。
「来年もよろしくお願いします~って、言われてたけどどうするの?」
「来年やるなら、俺がトナカイだ!絶対に!!」
「二人でトナカイかぁ、サンタはオジサンにでも頼む?」
そういって、隣を歩いていた真琴が和弥の顔を覗き込む。
それを聞いて、軽く溜息をつく。
そして、和弥は空に流れ星が流れているのが見えた。
(もうちょっと、真琴の察しがよくなりますように…)
「あっ、流れ星なんかお願いした?」
「早すぎて、何もできてない」
そう、軽く嘘をついた。
「帰って、着替えて温かいもんでも食べようぜ」
「それもそうね、今日は何かしら?」
「チキン作った残りの鳥で、鳥鍋を用意するって母ちゃんズが息巻いてたよ」
「楽しみ~、ねぇ早く帰りましょう」
「そうだな」
(ったくこんな事ならサンタが見たいなんていうんじゃなかったな)
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