第14話 私、可愛い……の?
「えっと~、その~……よしよ~し」
戸惑った様子で、真城は佐那の頭を撫でながらなだめる。
「後輩は先輩をイジメちゃいけないんだぞぉ~……」
「そうですよね。ごめんなさい」
「真城は可愛いんだからなおさらいじめちゃいけないんだぞぉ……」
「え、なんか私褒められてる?」
「真城みたいな人が実真を狙うとか、普通に無理だから……てか普通に自信無くなるからぁぁ」
「自信って……私は、ただ先輩と仲良くしたいだけですよ。本当に狙おうなんて思ってないですから」
「……ホント?」
ぐすんと鼻をすすりながら言う佐那に、
「可愛い……じゃなくて、本当ですよ」
「それなら、いいんだけど……」
「先輩も可愛いんだから自信持って下さいよ」
「私、可愛い……の?」
「可愛いですよ。私より」
「他の誰よりも……?」
「それは、人のタイプにもよりますから……学校中ではトップクラスで可愛いってことだけは言えます」
「……よかった」
頬を赤らめながらはにかむ佐那。
「何を見せられてるんだ俺は……」
少女漫画の一部でも見ている気分だ。いかにもこの後百合展開に発展しそうな場面。
「先輩、この後はどうすれば……?」
膝に佐那の頭を乗せながら、救いを求めてくる真城。
「あとは佐那が話し始めるの待てばいいだけ」
「他なにもしなくていいんですか?」
「ああ。追い打ちだけかけなければおけ」
立ち直るのに数分要するが、ケロッと泣いてた事が嘘かのように元気になるのをあとは待てばいい。
「佐那先輩、意外に可愛いところあるんですね」
「ん、なんでそれを俺に聞く?」
「一緒に居るってことは、こうゆう場面を少なくとも目撃してるってことじゃないですか」
「まぁそうなるな」
「惚れたりしないんですか?」
「……しないな」
「なんで間があったんですか」
可愛いと思う事はもちろんある。けど、恋愛対象として見れると言われたらまた別の話だ。
佐那と俺は友達なわけだし、佐那も俺の事を友達としてしか見ていないはずだ。
関係を崩さない為にも線引きはしなきゃいけない。
まぁ? あっちから好意を抱かれているならこれまた別の話になってくるがな。
「私、用事思い出したから帰る」
真城の膝元からスンッと立ち上がると、佐那はバッグを持って教室を出て行こうとする。
「お、おう。気を付けて帰れよ」
「実真、今度ゆっくり話そう。2人きりか智親を含めて」
「分かった」
「あと、真城」
「はい!」
「今日の事は……なかったことにして……」
去り際に、小声になりながらそう言うと、佐那は教室の扉を閉めた。
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