第13話 可愛い泣き方

「へぇ~。それで実真のことが気になったんだ~」


「ですです! 私感動しちゃいましたよ!」


 数十分後、佐那と真城は進んで話をしていた。

 出会った経緯などもすべて真城が話し、佐那に鋭い目を向けられたが、ヤらなかったことが功を奏したか、話の全貌を理解してくれた。


「実真の為に髪型と髪色変えるなんて、ガチなのね」


 改めて、真城の姿を眺めながら言う佐那。


「似合うか心配でしたけど、案外評判良くて安心です」


「それに、実真のタイプの髪型とか……ちゃんと狙ってるじゃん」


「別に狙ってはないですよ? 今までの見た目だと絡んでもらえないし、本気でビッチを卒業するって思われなそうだったので」


「ヘぇ~、狙ってないんだ~……ふーん」


 髪をクルクルとイジりながら言う真城に、どこか嬉しそうに口角を上げる佐那。


「……って、私が言うと思いましたか?」


 上の空になっている佐那に、真城はクスクスと笑う。


「……え?」


「先輩を狙ってなきゃ、わざわざ好きなタイプの髪型になりませんって。そんな浮ついちゃいけませんよ? 佐那先輩」


「この……クソビッチがぁぁ! ハメたなぁぁ!」


 真城の肩を掴み、強く揺さぶりながら佐那は叫喚する。

 仲良くなったと思った途端これかよ。


 佐那も男友達を守るためにガチになりすぎじゃないか? 俺だって自己防衛くらいちゃんと出来る。ていうか防衛成功している実績だってあるし。

 真城も佐那を煽るような言い方をするなよな。イジって楽しいのは分かるけど、こいつは怒り過ぎると……


「わ、私をイジって……そんな楽しいかよぉぉ……」


 肩を揺すりながらも、佐那の声は弱々しくなり、目から雫が一滴、二滴と滴り落ち始める。

 そう、佐那はイジリ過ぎると泣く。


「せ、先輩⁉ これはどうゆう――」


「慰めてやれ。謝れば許してくれるから」


「何をどうすればいいんですか⁉」


「そんなの自分で考えろよ。お前が泣かせたんだから」


 俺と智親も、2度ほど佐那を泣かせてしまったことがある。ドジと煽って泣かせてしまった時、

 頭を撫でながら謝ると、まるで小さい子供の様に抱きついてきて胸に顔を押し当てて泣く。


 これがまた可愛いんだよな。

 いつも性格が少しキツイ所があるから、ギャップ萌え。


「わたし、ドジじゃないから……」と、涙ぐんだ目で上目遣いは殺人級に可愛かった。




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